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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

砂浜を彩る植物-327.ハマニガナ-

夏休みは海に出かける機会が多いと思います(今年はコロナの影響で海開きしていないところもありますね😥)。当然、眼前の海に目は奪われてしまいますが、ちょっと足元を見てみると、意外ときれいな花が咲いていたりします。砂浜で黄色の花を見つけたら、それはきっとハマニガナだと思います。

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宮城県石巻市にて(7月26日)。以下、産地が同じものは撮影日同じです。

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北海道小清水町にて(7月22日)。砂の上に葉と花が散らばってる😲

ハマニガナは名前に「ハマ」とつくことからわかりますが、海辺の砂浜に生育する植物です。砂浜には背丈の低い草地が成立することが多く、ハマニガナは最も植物の少ない、草地と砂浜の境界付近に生育しています。草地と砂浜の境界を決める要因としては、海水のかかりやすさ、乾燥、風の強さ等、様々あると思いますが、草地の端は海浜に適応した植物でさえも、なかなか生育できない過酷な環境だと思います。草地を拡大させるための進軍の最前線と思っていただければ、厳しさもなんとなくわかりますね。

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砂浜では小規模な優占群落を形成することもあります(宮城県石巻市)。

ハマニガナがなぜ草地の最前線で生育できるのでしょうか?その理由の一つに、葉が地表にはりつくように生え、茎が地表に出ていないことがあげられます。茎が地表に出ていたら、強風が吹けば茎葉ともちぎれてしまいますが、ハマニガナの葉は地表にはりつくように生えているので、風の影響は最小限で済むような気がします。もう一つの理由として根が意外と深くまで伸びていることでしょうか。根が深くまで伸びることによって地中深くの水分を利用することができ、夏場の乾燥にも耐えられるのだと思います。

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植物が殆どはえていない砂浜の上だと黄色の花は目立ちます(北海道小清水町)。

ハマニガナはキク科ノニガナ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、日本全国の海浜に生育します。過酷な環境に生育する割には分布域は広く、海浜のエキスパートと言ってもよいでしょう。このような過酷な環境に生育するメリットとしては競合する植物が少ないことがあげられます。

ハマニガナの特徴は次の3点です。

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①生育環境:海辺の砂浜に生育します。

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②茎と葉:茎は地中に埋まり全く見えず、砂浜に葉を点在させます。葉は砂の上にのっかっているような雰囲気で、3~5裂し、縁は少数の歯牙(しが:目立たない点状の鋸歯)や不規則な切れ込みがあります。

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③花:花は短い茎に数個つき、黄色で、直径3cm前後です。舌状花(ぜつじょうか)のみからなり、オオジシバリタンポポに似たような雰囲気の花です。

生育環境が限定されていますし、葉の形状も特徴的なので、似ている植物は無いと言ってよいと思います。