春の畦に咲く植物-43.セイタカタンポポ-
かなりの大株で、存在感も圧倒的!!
こちらは春の眠りから覚めたばかりなのか、全体的に茶色い
タンポポには外来のものと、在来のものがあるのは多くの方がご存知だと思います。外来種と在来種の違いは、総苞片(そうほうへん:写真参照)の形で区別でき、セイタカタンポポのように総苞片がひっくりかえらない種は在来のタンポポです。
タンポポの仲間は意外と数が多く、同定の難しい仲間です。日本維管束植物目録(邑田・米倉,2012)という書籍によれば、タンポポの仲間は在来のもので22種あります。細かくわければ、もう少し数が多くなります。タンポポの仲間は花の総苞片の形と花粉の形状で種類が分けられます。逆に花がないと、種類を区別することが出来ません。ですから、今がタンポポの種類を区別する最高の時期といえます。
セイタカタンポポの特徴は次の3点です。
①花:花は4cm前後で、鮮やかな黄色。
②総苞片:総苞外片(そうほうがいへん:写真参照)は総苞内片(そうほうないへん:写真参照)の半分程度の長さ。総苞内片は約2cm(花の時期です)。総苞外片と総苞内片の角状突起(かくじょうとっき:写真参照)は殆どないか、低くて目立たないです。
③花粉:花粉の粒の大きさはそろっています(顕微鏡で見ないとわかりません・・・)。
タンポポの仲間はみな似ているのですが、私が見たことのあるタンポポでは、カンサイタンポポ、トウカイタンポポ、カントウタンポポがセイタカタンポポと似ていると思います。カンサイタンポポとは、総苞片の大きさと外片の長さが違う感じです(カンサイタンポポは総苞片の長さが15mmくらいで、外片は内片の半分より短い)。カントウタンポポとの違いは、いまいち把握できていませんが、カントウタンポポは角状突起がもう少し大きいようです。典型的なトウカイタンポポとセイタカタンポポは、実は全く似ていません。典型的なトウカイタンポポは外片と内片の角状突起が大きく、かつ外片は内片の半分よりも長いです。私の住む岐阜県南部は東海地方に位置するだけに、トウカイタンポポが多いように思われますが、実はそれほど多くないと思います。多くは、このセイタカタンポポだと思われます(私見です)。ただ、悩むような個体が出てくるのも事実です・・・。
ずいぶん前から、在来のタンポポが外来のタンポポに駆逐されて少なくなっているという話を聞きますし、最近では外来のタンポポが在来のタンポポの繁殖の邪魔をする(繁殖干渉というようです)といった話も聞きます。うちの近所でも新しい造成地では外来のセイヨウタンポポが多いですが、水田周辺はセイタカタンポポが多く、まだそれほど外来タンポポの影響を受けていないようです。ただ、外来タンポポが今後も増加すると、呑気なことも言っていられないかもしれませんね・・・。そんな訳で自宅周辺に出てくるセイヨウタンポポは抜くようにしています。