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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

春といえば黄色の花-241.ミツバツチグリ-

春は様々な花が咲く季節です。いろんな色の花が咲きますが、タンポポのような黄色の花は春に多い印象を受けます。ミツバツチグリも春にまぶしいほど黄色い花をつけます。

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福島県いわき市にて(4月26日)。かなり立派な個体で多数の花をつけていた。

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福島県いわき市にて(4月26日)。よく見かける雰囲気の花で、葉の方が特徴をよく表す。

ミツバツチグリは花付きがよく、花の直径も1cm以上あるので、個人的には見栄えのするきれいな植物だと思います。この個体は比較的新しい、明るい林道上にたくさん生育していました。

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長野県伊那市にて(5月23日)。小型の個体が集まるとヘビイチゴなんかに似ている。

でも、近所に似たような雰囲気の植物があるせいか、出会っても感動を伴うことは少ないですね。ミツバツチグリは珍しい植物ではありませんが、結構環境を選ぶような気がします。草地に生育する植物ですが、あまり草の茂らない明るい草地に生育します。もし、水田の畦で見たことがあると思った方は、そっくりさんの植物かもしれませんネ

ミツバツチグリはバラ科キジムシロ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州に分布します。ミツバツチグリの名前の由来は、ツチグリという植物に似ているけど、小葉が3枚であることから、ミツバツチグリという名前になったようです。ちなみに、ツチグリという植物も同じ属の植物で、土の中に栗のような根茎があることから、そんな名前になったようです。

ミツバツチグリの特徴は次の3点です。
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①茎:地表を這う走出枝(そうしゅつし:地面を横に這う茎で、先端のみに子苗ができる)を伸ばします。ただし、花の時期は走出枝は殆ど伸びておらず、花の後に盛んに伸ばすようです。
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②葉:葉の多くは根生葉(こんせいよう:地面際に付く葉)で、立ち上がる茎につく葉は小さく目立ちません。葉は3出複葉(さんしゅつふくよう:葉柄の先が3つに別れ、小葉3枚からなる葉)で、小葉は楕円形で先はとがらず、単純な鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があります。葉や葉柄には伏した毛が多いですが、葉の裏が白くなることはありません。
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③花:地際から10-20cm前後の茎を伸ばし、茎の先に集散花序(しゅうさんかじょ:花序軸が分枝して、主軸よりも側枝が目立つような花序)をつけ、花を2-10個程度つけます。花は黄色で直径1-1.5cm程度です。


似たような植物としてはヘビイチゴヤブヘビイチゴがあります。

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ヘビイチゴヤブヘビイチゴは花の時期に長い走出枝を伸ばし、花は葉の脇に1個だけつけます。実はヘビイチゴヤブヘビイチゴは赤くなりますが、ミツバツチグリはイチゴのような赤い実はつけません。ヘビイチゴ3小葉からなりますが、ヘビイチゴの葉は小さな鋸歯1-3個で大きな鋸歯1個のように見え、このような鋸歯は重鋸歯と呼ばれます。また、ヘビイチゴの葉は年間でサイズに大きな違いがありませんが、ミツバツチグリは夏になると、かなり大型の葉をつける点も異なります。走出枝を伸ばし、小葉が3枚のその他の種類としてはツルキンバイやテリハキンバイなどがありますが、平野部や丘陵地でこれらを目にすることはあまりないと思います。