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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

キク科の花のつくり(花序について:その2)

キクの花はそれぞれ1個の花に見えますが、実は複数の花が集まっているので花序になります。花の時だとなかなか1個の花と想像できませんが、種子ができると1箇所にたくさんの種がついているので、「なるほど、そうかもしれない」と思っていただけると思います。
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キク科の花は頭状花序(とうじょうかじょ)という種類で、図鑑では頭花(とうか)と表現されることが多いです。
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花の基部ののように見える部分を総苞(そうほう)と呼び、この部分は小さな葉のようなものが魚の鱗みたいに並んでいて、その葉のようなものを総苞片と呼びます。総苞片は外側のものを総苞外片、内側のものを総苞内片と呼びます。

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そして花弁のように見えるものが舌状花(ぜつじょうか)、一見すると雄しべや雌しべの集まりに見える中央部分が筒状花(つつじょうか)となります。それぞれの花は小さいですが、個々に雄しべや雌しべを持っていて、それぞれに種子ができます(実際は種類によって雄性の花と雌性の花にわかれていたり、雌しべがあっても種子ができない花があったりと、個々の花のつくりは複雑なようです)。この個々の花に雄しべや雌しべがある点が、複数の花から成り立っていることの証なので、この部分を確認することがポイントです(慣れればいちいち確認しなくても済むようになります)。
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キク科の花は全て舌状花筒状花があるかというと、そういうわけではありません。舌状花だけからなる仲間もあれば、筒状花だけからなる仲間もあり、組み合わせの違いが種類を見分けるポイントとなったりします。
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このような頭状花序(頭花)を持つ植物は他にもありますが、頭状花序がつく植物は圧倒的にキク科が多いです。頭状花序がついていればキク科だろうと思って間違いないでしょう。

蛇足ですが、花の終わった後にたくさんの果実をつける植物がいくつかあります。
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例えば、ケキツネノボタンキイチゴの仲間なんかがあげられます。「これらも頭花なのか?」と思ってしまう人もいらっしゃるかもしれません。これらは多数の花が実をつけたのではなく、雌しべが多数ある1個の花から実ができたものです。ですから、ケキツネノボタンキイチゴの仲間の花は、頭状花序(頭花)ではなく、1個の花ということになります。


今回も「図説 植物用語辞典」(清水建美著.2002年.八坂書房)、「改定新版 日本の野生植物」(平凡社を参考にしています。