身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

南海展望公園-(三重県南伊勢町)-

志摩の海といえば、複雑に入り組んだリアス式海岸が有名ですね。でも、リアス式海岸の全容は、海辺に立ってもなかなかわかりません。そんな時おすすめなのが展望台です!

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南海展望公園から見た五ヶ所湾奥。肉眼ではもっときれいに見えたのですが、私の腕だとこれが限界。肉眼をもってしても全容把握は難しい。

志摩の海を見渡す展望台はいくつもありますが、今回は密を避けてマイナーな南海展望公園を訪れました。この展望台からは五ヶ所湾のリアス式海岸熊野灘を一望することができます。

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断崖にも樹林が形成されるのがすごい!この大半はウバメガシ。濃い緑が断崖や青い海に映えます。常緑樹なのでいつ来てもこんな風景が見られます。

駐車場から展望台までは整備された尾根道を歩いて10分ぐらいです。五ヶ所湾の切り立った岸壁の上に成立する緑の森の殆どはウバメガシの樹林で、南海展望公園の尾根道もウバメガシの低木林となっています。ウバメガシは海風と乾燥に強い常緑樹で、志摩の海の海岸沿いの樹林の優占種となっています。

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物語の1コマのような風景。風をきって進むボートとヨットが気持ちよさそう。

展望台は360°の見晴らしで、リアス式海岸の青い海と緑の森、灯台、眼前を行き交う小さな船、漁村、全てが箱庭のようにきれいに収まっています。

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熊野灘方面の眺望。手前の砂洲の奥が大池。大池は地学用語だとラグーン(潟湖)と呼ばれ、珍しい地形のようです。確かにリアス式海岸が陸地の沈降や海進で出来たことを考えると、この部分になんで砂洲ができたのだろう?と思ってしまいます。

一方、熊野灘方面は広大な水平線を見渡すことができます。4連休なのに観光客が殆どいなくて、きれいな景色を自由に満喫できました。ただ、どうしても斜めからの景色になってしまうので、複雑な海岸線を完全には把握できないんですよね~。低空の空から眺められたら面白いでしょうね~。

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散策路で目立つのはこのウラジロ(大きい葉)とコシダ(小さい葉)。

展望台までの遊歩道は尾根道ということに加え、チャートの岩場がむき出しになっているところもあり、土壌水分の観点から見ると植物の生育には厳しい環境と言えます。そのため、ウバメガシ以外では、そのような過酷な環境に適応できるウラジロコシダといった特定の植物が旺盛に生育していました。植物を見慣れた人から見るとあまり面白くない環境ですが、他の地方から来た方(特に北日本や東日本から来られた方)でしたら、それなりに面白く感じることができると思います。

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ハゼノキ。関東南部以西に分布。小葉の一部だけ赤くなるのが面白い。和ろうそくの原料となります。

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カンコノキ。近畿以西に分布。小低木で見慣れない葉の形と刺が特徴。

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コゴメスゲ。関東南部以西に分布。スゲの仲間では珍しく秋に実をつける。海岸沿いに多い。

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ハイメドハギ。これは東北地方にもあります。遊歩道を這うように生育していますが、メドハギが踏まれてこうなったわけではありません。元から這う性質です。

南海展望公園までは車で行けますが、かなり細い道を通ります。車がすれ違えない場所もあります。免許とりたての次男がこんなところ怖くて運転できん…😱と言っていました。私はそんな道もよく通るので平気ですが、訪れる方は車の運転にご注意ください(まあ、観光客少ないのでそうそうすれ違わないと思いますが)。