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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

2019年の出会いベスト5(第4位)-298.エゾトウヒレン-

第4位はエゾトウヒレンです。別名はレブントウヒレンです。

 

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北海道礼文町にて(8月24日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。


エゾトウヒレンは礼文島で初めて出会った植物で、ガイドブック等ではレブントウヒレンと紹介されていることが多いようです。その名前からてっきり礼文島にしか生育していない植物だと思っていたのですが、北海道のオホーツク海沿岸域を除く全域の海辺に分布するようです。ありがたみが少し薄れた感じもありますが、そうそう見られる植物ではないと思うので、出会えてよかったです。

 

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この仲間はアザミを小さくしたような花をつけます。花の色はだいたい薄いピンク色。

 

エゾトウヒレンはキク科トウヒレン属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存する)で、北海道と青森県下北半島に分布します。海岸の草原に生育する植物のようですが、礼文島では桃岩展望台付近の稜線でも見ることができました。礼文島ぐらいの大きさで標高の高くない島だと、ほぼ全域海沿いと言えなくもないのかもしれませんね。

 

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礼文島ではエゾトウヒレンは比較的個体数が多かった気がします。


今年はトウヒレン属の植物にたくさん出会った年でした。トウヒレン属の植物は花が咲いていないと同定できないので、花の咲いている限られた時期(秋)に複数種と出会えることはなかなかないです。また、この仲間はそれほど群生する植物ではなく、地域によっては個体数も少ないですし、この仲間が生育している場所は自然性の高い環境だと、個人的には思います。ただ、今年出会ったトウヒレン属の多くは残念ながら写真を撮る機会が無く、今回はエゾトウヒレンのみがランクインといった感じです。

エゾトウヒレンの特徴は次の4点です。ただ、この仲間は図鑑を見ないと正確には同定できないので、参考程度と思っていただければと思います。

①生育地:北海道、青森県下北半島の海辺の草原。生育地で種を決めるというのは分類学的にどうかと思いますが、私のようにこの仲間に精通していない場合は、生育地で候補の種を絞り込むのが一番の近道です。

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②茎:葉の基部が葉柄に流れるので、茎には翼(よく:ひれのようなもの)が出ます。翼は茎上部で顕著で、茎の下部では目立ちません。

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③葉:葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)し、光沢があって、少し厚みもあります。色彩は濃い緑色で、裏面は淡い緑色です。形状は楕円形~卵型で、鋸歯があります。下部の葉には長い柄がありますが、花の時期には下部の葉が枯れかけのことが多く、花の時期だと上部の柄の無い葉が目立ちます。

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④花:頭花は密集してつきます。総苞は狭い筒型で、総苞外片の先端は細く伸びて斜上から少し返りますが、内側になるほど先端は伸びなくなり、反り返りも弱くなります。総苞片は7-8列に並ぶようです。

この仲間は類似種が多すぎます…。正直、図鑑を見ても違いがよくわからないことが少なからずあります。

 

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多分、ナガバキタアザミ。北海道蘭越町の白樺山にて(7月27日)。

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同じくナガバキタアザミの花。総苞片少ない感じもしますが、そっくりですね…。難しいです。


エゾトウヒレンに一番似ていそうな植物としてはナガバキタアザミがあげられます。ナガバキタアザミは葉の光沢少なく、総苞片が6-7列、高山の草原に生育する点で異なるようです。でも違いは微妙な感じもしますね…。