身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

礼文島その3〔桃岩展望台周辺〕-(北海道礼文町)-

桃岩展望台周辺の登山道は礼文島の中央の尾根沿いに整備されています。見渡す限りの草原で、この一帯は利尻礼文サロベツ国立公園の特別保護区に指定されているとともに、北海道の天然記念物にも指定されています。

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8月下旬になると礼文島はすっかり秋ですね。


監視員さんもいらっしゃって、かなり厳しい保護下にあるせいか、季節に応じて様々な花を見ることができるようです。私が訪れた8月下旬という花の少ない時期でも、多くの花を見ることができました。ただ、風の強いあいにくの天気で、殆ど写真は撮れませんでしたが…。

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風下側の斜面に樹林が見えます。稜線は全て草原です。

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イネ科のイワノガリヤスが優占して、エゾニュウの花の残骸がニョキニョキ。

桃岩展望台より東側の斜面(登山道のある斜面)は、比較的なだらかでチシマザサ、イワノガリヤス(多分)、オオヨモギを主体とした草原で、アクセントとして様々な色彩の花が咲き乱れます。草原の草丈は膝~腰くらいで、この背丈の低さが花の多さと関係していると思われます。草原の背丈が低いのは強風といった厳しい環境もあるようですが、人為的な管理(草刈)も多少行われているようです。草原で見頃を迎えていた花たちです。

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リシリブシ。毒草トリカブトの仲間ですね。山の中で見るトリカブトの仲間に比べると花序が密集して全体的にコンパクト。強風に対応した形状になっているようです。

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ビロードシオガマ。花の形がひしゃげていて、螺旋を描くように花がつきます。これは花序が短めですが、もっと長くなるものもありました。

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シコタンヨモギ。高山に出る雰囲気のヨモギですね。ヨモギはなかなか覚えられません…。この他にも全体に白っぽいヒロハウラジロヨモギも見ることができました。

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レブントウヒレン。この仲間も分類が難しいです…。本当は標本を採ってじっくりみたいところですが、さすがにそれはムリでした。ガイドブックに従いますが、平凡社の新しい図鑑ではエゾトウヒレンと同じということになっています。

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エゾノコギリソウ。初めて見ました。ノコギリソウの仲間では最も大きな花(頭花)をつけます。葉が全くのこぎり状じゃないところが特徴です。

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キタノコギリソウ。礼文島ではわりとどこでも見られる植物ですが、環境省の絶滅危惧植物に指定されています。

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トウゲブキ。光沢のある葉と黄色の花、庭に植えられるツワブキにも雰囲気が似ていますが、全く異なる植物です。

 

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桃岩展望台からの眺め。草原が緑の絨毯みたい!

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これが桃岩。桃のように見えなくもないか。岩場には何が生えているのかな~。

桃岩展望台からは素晴らしい景色を見ることができます。山々は決して高くないので、どちらかといえば箱庭的な感じもしますが、映画ジュラシックパークの景色を思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか。

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崖地の植生の様子。白いのはアサギリソウで、隙間にレブンソウが生育。

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何とか確認することができます。駐車場脇に植栽されたものがありました・・・

桃岩展望台の西側の斜面は崖地のような急斜面になっています。そこにはレブンソウとアサギリソウが生育する群落が成立していました。レブンソウは礼文島固有の植物ということなので、花は殆ど終わっていましたが感動ものです!なかなかの急斜面で近寄って撮影はできませんが、こういう環境に生育するんですね。

礼文島は島全体を縦走できるような散策路が整備されていて、本当なら数日間滞在してゆっくりと散策したいところです(次は花のたくさん咲いている時期に来るぞ~)。でも今回の私のようにとにかく時間がなく、半日滞在するのみという場合は、桃岩展望台周辺はお勧めです。フェリーターミナルからも近いので歩いていくこともできます。