身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

礼文島その1〔澄海岬:すかいみさき〕-(北海道礼文町)-

礼文島は日本最北の島で、花の島として有名です。植物好きなら一度は行ってみたい憧れの島です。北海道に来たついでに、8月下旬の天候不順な日に、日帰りという強行日程で訪れました。次回訪れるための下見となるといいですが、次はいつ来られるのか…。

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空も海も鉛色。陸地がなかったら空と海の境目がわからなくなりそう。

小雨降る中稚内港を出発。利尻島を経由して礼文島に向かいます。利尻島でも小雨程度で、これなら十分散策可能と思われましたが、礼文島に着いたらカメラも出せないくらいの雨…。とりあえずレンタカーで最北端のスコトン岬に向かいます。

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天気がよければ最高の景色。下に見える屋根は民宿の屋根のようです。すごい場所にある!

しかし、スコトン岬では強風と雨で早々に退散。散策はダメかと思われた矢先、幸運にも雨がやみはじめました。雨が再び降らないことをいのりつつ、スコトン岬から近い澄海岬に急いで向かいました。

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漁港の小屋の周辺に成立したハチジョウナ-エゾオグルマ群落。

澄海岬では砂利浜海岸に生育する植物と、海沿いの崖地に生育する植物を見ることができます。駐車場は漁港の近くで、漁港周辺に海岸性のハマベンケイソウ、ハチジョウナ、エゾオグルマ、ハマハコベといった植物を見ることができます。ただ、漁港という人為的な影響の強い場所だけに、ムラサキツメクサ、オニウシノケグサ、ヘラオオバコ等の外来種と一緒になってしまうのはちょっと残念です。

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澄海岬の斜面。斜面上部の変な色の草地はハマニンニク群落。こんな環境にも成立するんですね。ビックリ!

澄海岬の展望台に上って行く際に海沿いの崖地に生育する植物をじっくりと観察できます。展望台があるような平坦~緩傾斜(それでもかなり急)の安定した斜面では、ハマニンニク、イワノガリヤス(多分)、オオヨモギ等がかなり優占し、花の少ない草地が成立していました。

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急な斜面は群生するイネ科草本が少なくなり、様々な植物が生育している。さらに不安定な急斜面になると、地表が露になり、植物が点々と生育する程度になる。

でも、これらの植物の勢力が弱まると、様々な植物が生育する多様性に富んだ草地が出現します。訪れた際は、トウゲブキ、ツリガネニンジン、キタノコギリソウ、レブントウヒレン、チシマワレモコウ、カラフトニンジン、ヒロハクサフジ等が咲いていました。
そしてさらに急な崖地になり、殆ど土壌がなくなると岩上に点々と植物が生育する岩隙草本群落が出現します。群落の構成種はアサギリソウ、ハマオトコヨモギアブラナ科の仲間、イブキジャコウソウ等で、いずれもこのような岩場の環境で多く見られました。かなり過酷な環境そうですが、競争相手が少ないという点でメリットもあるようです。

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澄海岬の北側の湾。水もブルーできれい~。ポスターなどにも使われている景色です。
 
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澄海岬の南側の湾。正面の断崖地や斜面には草地や矮性低木林が広がり、樹林が無い。

先に訪れたスコトン岬から澄海岬までは約10kmの散策路があるようです。澄海岬の展望台だけでもきれいな景観が見えるので、全て歩いたらさぞきれいだろうな~。
 
澄海岬で撮影した植物達はこんな感じです。風が強くて風背側のあまり風のあたらないところに生育する植物しか撮影できませんでした。

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ヒロハクサフジ。海岸の荒れ地から岬の草地まで幅広く生育。ちょうど花の見頃でした。

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カラフトニンジン。この仲間は識別が難しく、標本を採ってじっくり調べたいところですが、国立公園内なのでさすがにそれは無理。礼文島のガイドブックを参考に同定しました。

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ツリガネニンジン。うちの近所にも生育する植物ですが、だいぶ雰囲気が異なります。強風と潮の影響か全体的に丈が小さく、葉も硬くなっていました。ちょっと違う植物のようです。

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キタノコギリソウ。この仲間は変種が多くてちょっとやっかいですが、多分キタノコギリソウでよいと思います。別名ホロマンノコギリソウ。

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ハマオトコヨモギ。路傍や岩場に生育。路傍だと這っている感じでしたが、草地や岩場だと少し立ち上がるような感じで生育していました。