かなり適当なお名前-310.カスマグサ-
カスマグサという名前を最初に聞いた時、「変な名前だな~」と思いました。
岐阜県羽島市にて(4月4日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。
花は小さいですが、よく見るとマメ科に特徴的な形をしています。
姿を見れば、「あ~、マメ科の植物なんだ」とすぐにわかるはずです。しかし、名前には全くマメ科という雰囲気がありません。
カスマグサはマメ科ソラマメ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)、もしくは越年草(えつねんそう:秋に発芽して冬越し、翌春に開花・結実して枯死する)です。ソラマメ属の植物は国内に15種ほど分布しますが、多くの植物は「フジ」、「エンドウ」、「ハギ」というマメ科の植物に関係する言葉が名前に入ります。
河川の堤防では群生することもよくあります。花盛りですが目立ちませんね(笑)。
どうしてカスマグサという名前になったのでしょう?聞いた時は名前の付け方の適当さにびっくりでした!
カスマグサに最も似ているスズメノエンドウ。名古屋市守山区にて(4月6日)。
カスマグサに一番似ている植物は花や豆のサイズが同じくらいなスズメノエンドウです。植物を覚え始めの時はどちらがどっちか、いつもわからなくなっていました。また、容姿は似ていませんが同じ時期に開花・結実する点で似ているのがカラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)です。ここで注目するのは鞘の中に入っている豆の数です。カラスノエンドウは豆の数が5~10個、スズメノエンドウは豆の数が2個、そしてカスマグサは豆の数が3~6個です。カスマグサの豆の数はカラスノエンドウとスズメエンドウの中間です。クイズが得意な方はわかったかもしれませんね(笑)。カラスノエンドウの頭文字の「カ」、スズメノエンドウの頭文字の「ス」、カスマグサの豆の数が両者の中間だから、「カ」と「ス」の「間(マ)」、ということでカスマグサとなったようです!名前の付け方はかなり適当な気もしますが、名前の由来を知ったら、私はスズメノエンドウとカスマグサを混同することがなくなりました。そういう意味ではよい名前なのかもしれません。
カスマグサの特徴は次の3点です。
①葉:葉の先に巻きひげがある羽状複葉(うじょうふくよう)。小葉(しょうよう)は10-17mm程度と小さい。
②花:花は春4-5月に咲きます。花は長い柄の先に1-2個つき、長さは5-7mm程度。スズメノエンドウよりも花数が少なく、花の色も紫色が濃いです。
③実:豆のさやは10-15mmで、3-6個の種子が入ります。さやは無毛で、類似種の中では見た目が最もエンドウマメに近いです(かなり小さいですが)。
カスマグサは本州~琉球の路傍や草地に生育します。公園の芝草地や管理の行き届いた河川敷の堤防なんかでわりとよく見かけます。