身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

実りの秋-289.ヤブマメ-

これは何の豆でしょう?さやえんどうにも似ていますが、ちょっと毛がありますね。これはヤブマメの豆で、一般的に食用としているマメ類では近縁のものは無いようです。

 

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東京都八王子市にて(10月18日)。大きそうですが鞘は2-3cmです。

 

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東京都八王子市にて(10月18日)。葉よりも豆がかなり小さいのがわかります。


ヤブマメは先に紹介したクズツルマメとともに野外でよく見るマメ科の植物で、ヤブマメ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)です。北海道~九州までの広範囲に分布しています。類似種のツルマメに比べると樹林地に適応した植物のようで、開けた草地よりも林縁や明るい樹林内でよく見かけます。草地に生育することもありますが、ツルマメのように大きな群落を形成することはなく、明るい草地でも林縁同様、個人まりと生育していることが多いです。

 

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岐阜県関市にて(10月6日)。それほど立派に成長していないが花をつけた!

 

我が家の庭は適当にやぶとなっているせいか、ヤブマメが毎年出現します。大きくなるころには草むしりして除去しているのですが、今年は見逃してしまい、花が咲いてしまいました(笑)。まあ、花は近づいて見るとそれなりにきれいですが、あまり繁茂させたくはないですね。結実する前には除去しようと思います。

 

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岐阜県関市にて(10月6日)。蚊にまとわりつかれて撮影。結構きれい。


ところで、ヤブマメは一年草で毎年花をつけていないにも関わらず(今年は咲いたが)、我が家の庭ではなぜ毎年出現するのでしょうか?実はヤブマメは花を咲かせずに実をつけているようです(閉鎖花という)。しかも土の中に!!土の中に豆をつくるのは落花生だけかと思っていましたが、ヤブマメも土中に豆をつくるんですね~。どうりで地上部をむしっても効果があまりなかったわけです。ヤブマメの土の中にできる豆は食用となるようで、かなり美味との噂です。たくさん収穫するのは難しいと思いますが、今年は地中の豆を収穫してみようかな~。

 

ヤブマメの特徴は次の3点です。

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①全体容姿:他の植物にからまるつる植物です。木や草などにからまって様々な方向に伸びますが、人の背丈以上に伸びていることはまれだと思います。

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②葉:葉は互生し、形は3出複葉です。小葉は幅広の楕円形~卵型で、鋸歯は無く、全体に伏した短毛がはえます。

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③花:花は15mm程度と細長く、筒部と先端は白色で、反り返った花弁は紫色。葉腋から伸びた5cm前後の花序に数花をつけます。ツルマメに比べると花が大きく、そこそこきれいです。

 

ヤブマメの葉はクズの葉を小型化したような形の葉で、類似種のツルマメの小葉に比べると葉の幅が広い点が異なります。

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オオバタンキリマメ。豆のさやが赤い点も異なります。愛知県設楽町(10月29日)。

 

オオバタンキリマメの葉はヤブマメの葉と雰囲気が似ていますが、オオバタンキリマメの葉は先端がとがり気味で、葉の裏に腺点と呼ばれるキラキラした細かい点があるところが異なります。