身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

葉の形について(その1)

紹介する植物がない時期なので、ちょっとだけお勉強をしますか。
植物を見分ける際は、花や実の形で区別することが多いのですが、野山を歩いていて、毎回、花や実に出会う訳ではないですよね~。特に木の仲間は、花や実のついている個体に出合うことのほうが稀なこともあります。そんな時は、やはり葉の形が植物の識別ポイントになります。

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花がつけば多くの人がわかる植物です。でも葉っぱだけということもよくあります。
 
植物の葉を片手に、図鑑の葉に対する解説文を読んで、パッと葉の形が閃く人は、よほど図鑑を読み慣れた方か、図形のイメージ力が強い方だと思います。私も最初に図鑑を読んだ時は、全く葉の形がイメージできませんでした

ここでは、図鑑によく出てくる葉の形に関する語句で、「これだけは覚えておくとよいかな~」というものを解説します

●単葉(たんよう)
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 単葉とは多くの子供が描くような、要は普通の葉っぱです。茎や枝に完全に分裂しない葉がくっついていれば、それは単葉です。葉が完全に分裂していなければ、切れ込み方や形に関わらず、単葉と呼びます。

●複葉(ふくよう)
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 複葉は単葉に対する葉の形です。複葉は1枚の葉が完全に分裂して、軸で複数の葉片(小葉)がつながったような葉を指します。多くの植物の葉は単葉か複葉のどちらかに区別されることになります(イネ科やカヤツリグサ科のような細長い葉については、通常単葉とは呼ばれないようです)。

笑い話で、葉がくっついている軸が、茎や枝なのか葉の軸なのかがわからないといった話をたまに聞きます。上記の複葉の写真も軸を茎や枝と見てしまえば、小葉が1枚の単葉と見ることもできますよね。ここで「茎(枝)とは何か?」と考えてもらえれば、違いがわかるかもしれません。茎や枝は伸びたり、太くなったり成長しますが、複葉の軸は葉の一部のため、葉のMAXのサイズになれば当然成長しません。葉片がくっついている軸が今後成長するかどうかという点に気をつければ、茎なのか葉の軸なのか迷うことはないと思います(慣れれば何とも思わなくなります)。

さらに複葉は小葉の枝分かれのパターンの違いと、何回そのパターンが繰り返されるかによって、様々な呼び名があります。主要のものをあげると次のような感じです。

●三出複葉(さんしゅつふくよう)
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 葉柄の先が3つに分かれ、小葉3枚からなる葉を三出複葉(一回三出複葉)と呼びます。この小葉3枚を1セットとして、そのセットが3個あると(軸の枝分かれの箇所が2回あると)、二回三種出複葉と呼びます。さらにそのセットが9個あると(軸の枝分かれ箇所が3回あると)、三回三出複葉と呼びます。

●羽状複葉(うじょうふくよう)
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葉柄の先の軸が伸びて小葉が4枚以上付く葉を羽状複葉と呼びます。鳥の羽のように小葉が並ぶことから羽状複葉と呼ばれるようです。羽状複葉のうち、軸の先に小葉が1枚つくものを奇数羽状複葉、軸の先に対になる小葉が2枚つくものを偶数羽状複葉と呼びます。
 
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そして小葉4枚以上の羽状複葉を1セットとして、そのセットが何個あるかによって(軸の枝分かれ箇所が何回あるかによって)、二回羽状複葉、三回羽状複葉となります。二回~三回羽状複葉の形は種子植物ではあまりありませんが、シダ植物の葉ではよくこのような表現で形状をあらわします。

●掌状複葉(しょうじょうふくよう)
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 葉柄の先が4つ以上に分かれ、小葉4枚以上からなる葉を掌状複葉と呼びます。しかし、一般的には小葉4枚の掌状複葉は無いので、小葉5枚以上と考えてもらってよいかもしれません。語句の解説本によっては小葉3枚でも、軸が明瞭だと掌状複葉とする場合もあるようです。

これで語句と、葉の形がなんとなくイメージできたでしょうか?それにしても、葉っぱにはいろんな形があるもんですね~。葉っぱを見ているだけでも楽しくなります