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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

実りの秋-287.ツルマメ-

枝豆といえばビール!枝豆は夏のイメージが強い野菜ですが、枝豆の季語は秋で、品種によっては秋に旬を迎えるものもあります。この時期、河原を歩いていると可愛い枝豆に出会います。

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新潟県阿賀野市にて(9月19日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。


豆だけアップで撮れば殆ど枝豆!ただ、ちょっと実の入りは悪い感じですね(笑)。
この植物はツルマメといい、実際の鞘の大きさは3cm程度なので、正直食べるところがありません。でも枝豆とは全く同じ仲間(属が一緒です)なので、実は食べられると思います。これをビールのつまみにしようと思うと相当量を収穫しないといけなさそうですが、気になった方はチャレンジしてみてください。

 

f:id:shimisyoku:20191002144340j:plainツルマメの花。花が小さいので探すのに苦労しました。

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こちらは畑で栽培した枝豆。茎が直立する以外はツルマメに確かに似ている。


ツルマメはマメ科ダイズ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)で、北海道(稀らしい)と本州~九州に分布しています。枝豆は直立する草ですがツルマメはその名の通りつる植物で、河原などの人里近い草地にごく普通に生育しています。

 

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大群生したツルマメ。10m×10m以上の範囲で大群落を形成していました。


マメ科のつる植物というとクズが思い浮かび、旺盛な繁殖力が特徴的です。ツルマメも繁殖力旺盛で、時々大繁茂して大きな群落を形成することがあります。これだけ大繁茂すれば枝豆取り放題と思いきや、群落の大きさの割には豆が少ないような気がします。そういえば子供の頃、枝豆の葉が茂りすぎるとあまり実がならないと、おじいちゃんが言っていたような…。
大繁茂して豆も食べられないとなると、相当やっかいな雑草のようですが、そこは一年草。数年程度で大繁茂は終わり、河原であればオギやセイタカアワダチソウ等の多年草に場所をゆずりわたしてしまうことが多いようです。

 

ツルマメの特徴は次の3点です。

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①全体容姿:他の植物にからまるつる植物です。草地に生育するので、木などにからまることは少なく、上方向に伸びるというより、他の草にからまりながら横方向に伸びていく感じです。

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②葉:葉は互生し、形は3出複葉です。小葉は細身の卵型で、鋸歯は無く、全体に伏した短毛がはえます。

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③花:花は5-8mm程度と小さく、紫色。葉腋のごく短い花序に数花をつけます。とても目立たない花なので、注意深く探さないと花がみつかりません。

 

マメ科のつる植物はたくさんあって、だいたいが3出複葉で慣れないと皆同じに見えてしまいます。でもよく見ると葉の形がそれぞれ微妙に異なり、花も確認できれば比較的簡単に種を見分けることができます。ツルマメに一番似ている植物としては、ヤブマメがあげられます。

 

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東京都八王子市にて(10月18日)。小葉の幅が広く、豆も毛が少ない。

ツルマメとヤブマメの典型的な個体であれば、葉の形で簡単に見分けることができますが(ヤブマメの小葉は幅広の広卵形)、ツルマメも時々幅広気味の小葉をつけることがあるので、そんな個体は注意が必要です。