身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

春は山菜!-271.イタドリ-

イタドリを山菜として紹介すると、「え~、イタドリって食べるんだ~」と思う方もいらっしゃるかもしれません。実は私も食べたことがなく、そんなにメジャーな山菜ではないと思っていました。ところが西日本では結構メジャーな山菜で、高知県では代表的な山菜の一つだそうです。

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岐阜県各務原市にて(4月8日)。この状態のものを食べるそうです。

芽出しの状態のイタドリを見ると、ちょっと筍のようにも見えるし、アスパラのような雰囲気もあります。結構おいしそうですネ。イタドリにはシュウ酸が含まれていることは有名で、食べたことはありませんが、多分少し酸味があるのでしょう。このシュウ酸は食べすぎると下痢を引き起こすこともあるようなので、おいしくてもほどほどがよいようです。

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岐阜県高山市にて(10月6日)。手前の白い花が雌株、奥の上向の花が枯れたものが雄株。

イタドリはタデ科ソバカズラ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、ほぼ日本全国の平地から山地までに分布し、なんと高山にも分布しています。高山に分布するものは小型でオノエイタドリとして以前はイタドリの変種として区別されていましたが、大きさしか違いがないため、現在はイタドリと区別しないのが主流のようです。イタドリは日当たりのよい草地や林縁に生育し、地下茎で増殖するため群生していることが多いです。山菜の時は可愛らしいイタドリですが、大きくなると人の背丈ほどになる豪壮な草本です。

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岐阜県高山市にて(10月5日)。この花を観賞するために導入したのか!?

日本では当たり前の植物ですが、ヨーロッパでは外来種とされ(観賞用として導入されたらしい)、世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれているようです。この植物のどこを鑑賞するのか、ちょっと疑問ではありますが、感性は人それぞれですからね。

イタドリの特徴は次の3点です。
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茎:茎は基部で直立しますが、上部は弓なりに曲がり多数分枝します。大きいものでは人の背丈ほどになります。高山では小型になり、サイズは様々です。
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葉:葉は互生し、全縁(ぜんえん:葉の縁にギザギザがない)、長さは515㎝程度、形状は卵形~広卵形、先端はとがり、基部は葉柄とほぼ直角になります。この葉の形が特徴的です。葉の裏面は緑色で、脈上を含めて殆ど無毛です。
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花序:茎の先端や上部の葉腋にクリーム色の多数の花をつけたひも状の花序をつけます。図鑑では円錐状の花序となっていますが、きれいな円錐形になっていないことが多く、イメージはもじゃもじゃとした花序といった感じです。イタドリは雄株と雌株があり、雄株の花序は立ち上がり、雌株の花序は垂れ気味になります。花はクリーム色ですが、時に赤味を帯び、花序の軸も赤味を帯びることが多く、個体によっては花序がピンク色に見えることもあります。雌花は花なのか実なのかわかりづらいです。

似たような植物としては、イタドリと殆ど同じ形状で、葉裏の脈上に短毛が密生するケイタドリ、伊豆諸島に分布するハチジョウイタドリといった変種があげられます。北海道や本州北部に多いオオイタドリも似ていますが、こちらはさらに大型で高さが3m程度に達し、葉の基部が顕著なハート型である点が異なります。

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オオイタドリ。北海道稚内市にて(8月24日)。これで高さ2m以上。全て雄株のようです。