身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

2019年の出会いベスト5(第3位)-299.アカスゲ-

北海道の植物が続きます。第3位はアカスゲです。

 

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北海道釧路市にて(6月13日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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花序は葉より長いのですが、雌小穂が貧弱なので花茎が目立ちません。


アカスゲは過去に一度出会っているのですが、時期が悪く実の無い状態でした。「これかな~」というのは見たのですが、とても「見た!」なんて言えるものではありませんでした。今年は結実している最高の状態で見ることができて、非常にうれしかったです。アカスゲの名前の由来は多分基部の色が赤いからアカスゲだと思います。でも基部が赤い色のスゲは結構たくさんあるんですよね~。初心者にはちょっと紛らわしい名前だと思います。

 

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ヒカゲスゲ節のグループは1小穂あたりの果胞の数が少ないのも特徴。


アカスゲはカヤツリグサ科スゲ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、ヒカゲスゲ節というグループに属しています。果胞に長い柄があって、先端が丸っこく、毛が密生するところからヒカゲスゲ節に入ることが想像できます。北海道の東部のみに分布する珍しいスゲで、環境省の絶滅危惧植物に指定されています。トドマツ等が優占する針葉樹林内に生育します。

 

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鮮やかな黄緑色の細長い葉は全てアカスゲ。多いところでは数10株がややまとまって生育していた。


分布域の中心地であれば、結構個体数が多い印象を受けましたが、その場所に行かないと見ることができないスゲのようです。道東は遠いのでそうそう行く機会はありません。もう一度ぐらい見る機会があるといいな~。

アカスゲの特徴は次の4点です。

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①全体容姿と生育環境:株状になり、草丈は20cm程度。やや乾き気味の針葉樹林に生育します。
②葉:葉は無毛で幅は2-3mmぐらい。基部の鞘は鮮やかな赤紫色になるのが特徴です。

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小穂のつき方一番上に1個の雄小穂がつき、その他は雌小穂で、雌小穂には長い柄があるため、雄小穂のすぐ下の雌小穂が雄小穂よりも長くなることが多いです。
④果苞と鱗片:果苞には柄があり、先端は突出するが全体的には丸味を帯びた形になります。3陵があり(柱頭は3分岐)、全体に短毛を密生します。鱗片は果苞の柄の部分を抱き、赤褐色で果苞よりも短いです。

 

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アズマスゲ。全体の雰囲気は似ているけど基部の鞘は赤くない。岩手県田野畑村(5月21日)。

あまり似ているスゲは無い感じですが、同じヒカゲスゲ節のアズマスゲは大きさと雌小穂に長い柄がある点で少し似ていますが、葉に短毛がある点で異なります。

 

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ヒメスゲ。これは大型個体なのであまり似ていません。小さな個体は雰囲気似てるかも。北海道蘭越町(8月1日)。

グループは異なりますが、小型のヒメスゲ(大きく成長したものはあまり似ていない)は全体の大きさと基部が赤紫色になる点で似ていますが、小穂がつけば全く異なることは一目瞭然です。