地元で撮影した植物-176.コジュズスゲ-
コジュズスゲはビチャビチャした湿地に生育します。この場所は放棄水田で、ところによっては膝ぐらいまでズボッといってしまうようなところです。
岐阜県関市にて(4月30日)。撮影場所・撮影日はことわりがない場合同じです。
葉がわさわさ茂っていて見づらいですが、比較的大きな実がつくのが特徴です。
コジュズスゲはカヤツリグサ科スゲ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、タマツリスゲ節というグループのスゲです。タマツリスゲ節のグループは、それほど目にすることはないですが、その中でもコジュズスゲは比較的見やすい種です。北海道~九州、伊豆諸島、対馬までの広範囲に分布します。
タマツリスゲ節の中では最も普通のコジュズスゲですが、実は結構、同定に悩む植物です。まず、広範囲に生育する植物だけに、個体の変異が大きいです。全体の大きさや、葉の幅、実の大きさなどに個体差があります。
これも同じコジュズスゲ。小型でやや葉が幅広。これも同定に迷いました・・・。愛知県設楽町にて(5月8日)。
さらに類似種との違いも、全体の大きさや、葉の幅、実の大きさ等がキーとなります。「それじゃ、同じ種なのか、別な種なのかわからんじゃん?」と思いますよね。だから、悩むんですよね~。コジュズスゲの仲間については、1つの形質だけでなく、いろんなところを見て、分布も考慮して、総合的に判断するという感じです。本当に難しいんですよね・・・。
コジュズスゲの特徴は次の4点です。スゲ属の用語解説はココ。
①全体の容姿と基部の鞘:株状に生育し、葉の幅は3-6mm、地際の基部の鞘は白っぽいです。
②小穂の着き方:一番上が雄小穂で、下のその他は雌小穂です。雌小穂の基部には鞘があり、鞘の先には花序よりも長い苞葉(ほうよう:小穂の下に付く葉)がつきます。雌小穂は長い柄の先に小数の大きな果苞がつきます。この小穂のつき方はタマツリスゲ節共通の特徴です。
③雄小穂:雄小穂は1cm前後、鱗片は淡緑色で赤味を帯びません。
④雌小穂と果苞:雌小穂は大きなもので長さ2cm未満、果苞はたいてい10個以下です。果苞は無毛で長さ5-7mm、柱頭は3分岐です。