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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

自宅庭の雑草も紅葉-333.ササガヤ-

どこから種子が紛れ込んだのかわかりませんが、我が家の庭にはササガヤという草が生育しています。

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岐阜県関市にて(11月8日)。以下、全て撮影場所同じです。秋の写真は撮影日同じ。

ササガヤはイネ科ミヤマササガヤ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)で、本州~九州に分布します。低山の林縁に生育することが多く、半日陰の林道脇などでごく普通に見られる植物です。

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花は9月中旬頃から咲き始めますが、花序が繊細なので目立ちません(9月23日)。

もともとは樹林の近くに生育する植物なので、畑地にはえるような雑草とは異なります。自宅のまわりは水田なので、多分庭をつくった最初の頃に近所の山からとってきた緑化材料に付着していたのが増えたのでしょう。もしくは車や標本の袋等に種子が付着していたか😅。

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優しい緑色がとてもきれいで、ササのような葉もかっこいい(9月23日)。

ササガヤはあまり大きくならない植物(30cm以下)で、かつ地表を這うように枝分かれして増えていきます。また、葉も小型でササのミニチュアのような感じで、個人的には整った容姿をしているような気がします。緑もきれいなのでグラウンドカバーとして気に入っています。ただ、狭い庭ではあっという間に覆われてしまうのが難点です。最近は少し除去しています…。

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クリスマスローズの鉢で紅葉するササガヤ。これだとあんまりきれいじゃないか…。

一年草なので晩秋から冬場にになると枯れてしまいます。この時期になると淡い黄色やに紅葉して、草紅葉っぽい感じになります。完全に枯れてから除去すれば、お庭的にも見苦しくはないと思います。

ササガヤの特徴は次の3点です。

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①全体容姿:茎は地表を這って分枝します。そのため群生していることが多いです。高さは膝丈以下です。

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②葉:葉の大きさは2-5cmくらいで、披針形(ひしんけい:かなり細長い卵型)です。ササの葉を小型にしたような雰囲気で、葉の基部側が最も幅広くなります。色は鮮やかな黄緑色です。葉鞘(ようしょう:葉の付け根から下側の茎を鞘状に巻いている部分)の縁の部分は毛がありますが、葉の縁や葉鞘背面、節の部分には毛がありません。

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③花序と小穂:の長さは4cm前後で、は2-4本が比較的近接してつきます。は細いので花が咲いても目立ちません。小穂(しょうすい)は長い柄のものと短い柄のものが1セットとなって、それがに複数つきます。小穂には長い芒(のぎ:糸状の毛)があります。

類似種としてはコブナグサ、コチヂミザサ、アシボソ、ミヤマササガヤがあげられます。コブナグサは明るい湿地に生育することが多いので、少し生育環境がササガヤと異なります。コブナグサは葉の基部が茎を抱き、葉の基部に毛が出る点でも異なります。

コチヂミザサは花序があれば花序の形状が全く異なるのですぐにわかります。コチジミザサの花序はベタベタして、実はいわゆるくっつき虫です。葉だけだとササガヤとの違いが難しいかもしれませんが、色合いが濃い点、葉がより細い点で異なります。

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アシボソ。岐阜県関市にて(10月6日)。葉はわかりづらいが、花序は全然違います。

アシボソの生育環境はササガヤと似ていて、混生する時もあるので注意が必要です。花序がつけばアシボソの方が総が太いので区別は簡単です。葉だけの場合、アシボソの葉は左右非総称の幅の狭い楕円形で、葉の中程が一番太くなる点が異なります。

ミヤマササガヤは区別が特に難しいです。節の部分に短毛があり、小穂が長い柄のものと無柄のものが1セットになるようですが、見慣れないと違いが微妙です。節の部分に毛があるミヤマササガヤはキタササガヤという変種になり、北海道~本州中部以北に分布するようです。そのため節の毛の有無だけではミヤマササガヤは区別できませんが、西日本、四国、九州で節に毛があるササガヤを見つけたら、ミヤマササガヤを疑うのがよいかもしれません。