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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

庭の雑草-257.コブナグサ-

コブナグサは水田の畦や湿地でよく見かける植物です。「コブナグサが庭の雑草なんて随分じめじめした家だね・・・」と心配してくれた人は、かなり植物好きの人ですね

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岐阜県関市にて(9月23日)。植木鉢にてんこもり育てている訳ではありません。

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名前がかわいいですが、容姿も結構かわいいと思う。

コブナグサは湿地で出会うことの多い植物ですが、湿地ではなくても十分生育できるようです。実際、雨が降れば水溜りになり、雨が降らないとカラカラになるような河川敷でも結構普通に生育しています。

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青森県弘前市にて(9月20日)。岩木川河川敷の大群落。この日は水が溜まっていなかった。

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ここまで群生すると結構きれい。紫色と緑色の絨毯といった感じです。

コブナグサにとって庭のような環境は、明るいし、毎日水やりもしてもらえるし、競争となる植物もいないため、住みやすいのだと思います。うちの庭はたまに抜き取られることを除けば、一等地なのかもしれません(ある程度抜いても、毎年ちゃんと出てきます)。

コブナグサはイネ科コブナグサ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)で、日本全国に分布します。なんの利用価値も無いと思っていたら、八丈島では「カリヤス」と呼ばれ、黄色染料の材料として用いられているようです。

名前の由来はたぶん、イネ科の割には葉のぽってりした形状をフナの形にみたてたのだと思います。また、増水した後にコブナグサが水につかっているワンドやたまり(河川敷の止水域)を歩くと、小魚が驚いて草陰に隠れたりすることがあり、そのよう状況を見て魚を連想したのかもしれません。

コブナグサの特徴は次の2点です。広域に分布する種ということで花序の色や花の形が若干違うこともあるようですが、葉の形状だけでも識別できるイネ科植物といってよいです。
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①葉の形とつき方:葉の形は卵形~狭卵形で、葉の縁の基部側のみに明瞭な短毛がはえます。これ以外は毛のないことが多いです。一番の特徴は葉のつき方で、葉の基部が茎を抱くようにつきます。葉鞘(ようしょう:葉の鞘の部分)には長い毛が多い個体もありますが、殆どないような個体もあります。
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②花序の形:ほうきのような形をしていて、枝が数本~10数本分岐します。花序は熟すと開きますが、若い花序は売り物のほうきのように先がたばねられた状態になります。花序の色には変異があり、紫色になるものあります。葉の形と花序の形さえ確認すれば、ルーペで花のつくりを観察しなくても区別できます。


葉だけで識別できるイネ科植物ですが、花のついていない場合で、かつ個体が小型の場合、アシボソ、ササガヤ、チヂミザサなんかと間違うことがあるかもしれません。アシボソとチヂミザサは葉の縦横の比率が、縦(長さ)のほうがだいぶ長いので、そんなに間違うことはありませんが、ササガヤの葉の縦横比はコブナグサに近いので注意が必要です。ササガヤは葉の基部に毛がない点で異なります。