行儀のよいシバ?-323.ギョウギシバ-
「芝の中で行儀がよい芝はな~んだ?」正解はギョウギシバ~。子供のなぞなぞというかダジャレというか…😅。
神奈川県平塚市にて(7月7日)。以下、産地同じものは撮影日同じです。
佐賀県神埼市(5月30日)。マット状の淡い緑色がギョウギシバ。芝みたいですね。
今回紹介するギョウギシバはシバとつきますが、芝生に使うシバとは全く異なる植物です。まあ、背丈が低くて地面にへばりついて成長する様子はシバと同じなので、そういった容姿からギョウギシバとなったんでしょうね。それではどのへんが行儀がよいのか?「増補イネ科植物図譜」(長田武正著.平凡社)を読むと、「短く硬い葉が2列に並ぶ並ぶ姿を形容したものか」とありました。語尾が「か」で終わっていたので、長田先生もはっきりとはわからない印象があります。「2列に葉がきちんと並ぶ→つまり行儀が良い」、ということでギョウギシバという雰囲気でしょうか。
ところで葉が2列に並ぶというのはどういう意味なんでしょう…。この写真で言うと、上と下に葉が並ぶということですかね?シバの葉のつき方もたいした差はないと思いますが…、名前って面白いですね。
ギョウギシバは総が複数つくが、シバは総が1本で太い点が異なる(佐賀県神埼市)。
ギョウギシバはイネ科ギョウギシバ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、日本全国の日当たりのよい海岸や路傍の草地に生育します。シバよりも踏まれることに耐性があり、未舗装の駐車場、管理の粗放的なグラウンドなどでよく見かけます。当然そのような環境だと踏まれてばかりいるので、草丈は10cm以下ということが多いです。
一方、海岸の砂浜にもよく生育しており、そのような場所だと踏圧が弱いため30cm程度にまで大きくなることがあります。中には膝丈程度にまで成長して、花序もとても大きいものがあり、そのようなものはオオギョウギシバといって変種に区別されることもあります。いずれにしても他の植物があまり入ってこれないような過酷な環境で生育する植物といえます。
ギョウギシバの特徴は次の3点です。
①全体容姿:地表を這う匍匐枝(ほふくし:地面を横に這うような茎。節から根が出る)を伸ばし、マット状に群生します。シバも匍匐枝を伸ばしますが、シバの匍匐枝は浅い地中を這うことが多いようです。
②葉:葉は長さ3-7cm、幅1.5-4mm程度で、平面的(紙や地面に置いた時に立体的にならず、紙と並行になる)につく雰囲気です。常に踏まれるような環境の葉は硬くて短い葉になりますが、立ち上がるような環境の葉は柔らかく長くなり、同じ植物とは思えない印象になります。
③花序:花序は3-5cmの長さの総を3-7本、一ヵ所から放射状につけます。メヒシバに似た感じになりますが、メヒシバのように総が段々につくことはありません。
花序の形と地表を長く這う匍匐枝を確認すれば、まず間違える植物はないと思います。在来種で似た植物はありませんが、先日ギョウギシバに似たチャボヒゲシバという外来種を見ました(写真撮ればよかった~😫)。ギョウギシバよりも大きな花序をつけ、小花に長い芒(のぎ:ひげいたいなもの)がある点で異なり、ギョウギシバを見慣れていればすぐに違うものと気づくと思います。