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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

春といえば黄色の花-242.オヘビイチゴ-

黄色の花を続けます。オヘビイチゴです。

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佐賀県佐賀市にて(4月26日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。
 
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この仲間は花だけ見ると皆同じに見えます。葉の形の方が種を見分けやすい。
 
ヘビイチゴ」とつきますが、オヘビイチゴはイチゴ状の赤い実はつけません。イチゴをつけないのに、なぜこのような名前になったのか?推測ですが、植物の頭に「オ」とつくのは、「雄」というイメージを表していることが多く、この接頭語がつくと、対象となっている植物よりも「豪壮な」とか、「より大きな」とかいう意味合いが強くなります。オヘビイチゴヘビイチゴに花が似ているけど、ヘビイチゴよりも派手にたくさんの花をつけることから、このように名づけられたと思われます。

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オヘビイチゴが満開。遠くから見ても黄色の花が目立ちます。
 
オヘビイチゴバラ科キジムシロ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州~九州に分布します。オヘビイチゴはやや湿った明るい草地に生育することが多く、水田の畦や水辺に近い河川敷でよく見かけます。春先の黄色の花がきれいなので、うちの庭に植えたところ、一時非常に増殖しましたが、庭が藪(薄暗く)になるにつれて衰退してしまいました。明るさが重要な環境要因となっているようです。

オヘビイチゴの特徴は3点です。
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①茎:茎は地表を横に伸びることが多いですが、明瞭な走出枝(そうしゅつし:地面を横に這う茎で、先端のみに子苗ができる)はありません。茎で増えることはあまりないようですが、たまに茎から根が出て新しい株ができることもあるようです。
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②葉:葉の多くは根生葉(こんせいよう:地面際に付く葉)で、立ち上がる茎につく葉は小さく目立ちません。根生葉は掌状複葉(しょうじょうふくよう:葉柄の先に4つ以上の小葉がつく葉。5枚ということが多い)で、小葉は5枚です。小葉は楕円形で先はとがらず、単純な鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があります。ちなみに最上部の茎の葉は3小葉からなります。
③花:地際から20-50cm前後の茎を伸ばし、茎の先に集散花序(しゅうさんかじょ:花序軸が分枝して、主軸よりも側枝が目立つような花序)をつけ、花を2-10個程度つけます。花は黄色で直径1cm程度です。


水田脇などで花だけを見ると、ヘビイチゴのように見えますが、根生葉の小葉が5枚であることを確認すれば間違えることはないです。キジムシロ属で小葉5枚となる在来種は本種のみです。