変なお名前-311.フラサバソウ-
フラサバソウという名前には不思議な響きがあると思いませんか?
愛知県名古屋市にて(4月6日)。産地記載ないもの撮影場所・撮影日同じです。
「ソウ」は「草」ということだとわかりますが、「フラサバとは何?」と誰もが首をかしげるでしょう。
このように群生することが多いが、花は目立たず存在感は薄い。
最初にこの名前を聞いた時は、意味不明な変な名前だと思いました。しかし、名前の由来を知ったら、「変な名前」から一転、「由緒正しい名前」なんですね~と思うようになりました。「フラサバ」とはフランスの有名な植物学者である、フランシェ(Franchet)さんと、サヴァティエ(Savatier)さんに対する献名で、お二人の最初の2文字をとってフラ・サヴァ→フラサバとなったようです。フランシェさんとサヴァティエさんは、フラサバソウの最初の発見者ではないのですが(最初の報告者はミクェルさん(Miquel))、1875年にフラサバソウについて再報告しているようで、フラサバソウとは縁があるようです。
長崎県諫早市にて(1月22日)。初めて見たのは14年前。最近は各地で時々見る。
フラサバソウはヨーロッパ原産の外来植物で、明治初年に長崎県から最初に報告された植物です。ということは江戸時代の出島から入ってきたんでしょうかね?侵入ルートも正統派ですね(笑)。そういえば、私がこの植物を最初に見たのも長崎県でした!
1個体にたくさんの実がつくので、花よりも実の方が目立つかもしれません。
フラサバソウはオオバコ科(旧分類体系ではゴマノハグサ科)クワガタソウ属の越年草(えつねんそう:秋に発芽して冬越し、翌春に開花・結実して枯死する)で、耕作地周辺や路傍の草地に生育します。今では北海道~琉球までの日本全国に分布を広げており、先日出かけた津保川の河川敷にも生育していました。
フラサバソウの特徴は次の4点です。
①全体容姿:基部で複数枝分かれし、茎は這うような感じで横に伸びます。わりと群生していることが多く、背の高さは膝丈以下です。
②葉:基部の数対の葉は対生(たいせい:葉が対になって着く)しますが、殆どの葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)します。目に見える範囲の葉は互生と思ってもらってよいです。葉には1-3対の大きな鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があり、全体に毛を密生します。
③花:花は小さく直径2-3mmで、淡い紫色です。花の形は小さくてわかりづらいですが、オオイヌノフグリと似た感じになります。
④実:果実は球形で、直径3mm程度、萼に隠れるようにしてつきます。果実は無毛です。
フラサバソウは春によく見るオオイヌノフグリと同じ仲間の植物なので、全体の雰囲気や花の形はオオイヌノフグリに似ています。ただ、オオイヌノフグリはきれいな大きなブルーの花をつけるので、違うことはすぐにわかりますね。似ている植物としては同じ外来種のコゴメイヌノフグリがあげられます。コゴメイヌノフグリは花の色が白色で、果実に毛がある点でことなります。