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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

戌年にちなんだ植物-224.イヌホオズキ-

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。新年最初の植物は干支の戌年に関連する植物からスタートです。まずはイヌホオズキです。

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新潟県新潟市にて(9月30日)。半日陰に生育する個体で膝丈より大きいくらい。

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上記の個体の花の部分。目立たない小さな花をたくさんつけます。

イヌにちなんだ植物はかなりの数にのぼります。最近出た日本の野生植物(平凡社で「イヌ」と頭につく植物を数えてみると、約70種ありました!日本に生育する維管束植物の種数は定義の仕方によっても異なってきますが、約7000(日本の絶滅の恐れのある野生生物 植物I2015))とした場合、約1%の植物が犬に関連した(直接・間接的を含めて)名前がつけられていることになります。調べたわけではありませんが、動物の名前がつく植物の中では「イヌ」が一番多いのではないでしょうか。ちなみに「イヌ」という名称の由来は、「役にたたない」といった否定的な意味合いで使われることが多いようです。例えば、アワに対してイヌアワ(食用にならないアワ)、ヒエに対してイヌビエ(食用にならないヒエ)、イヌホオズキの場合は「鑑賞に堪えないホオズキ?」といった具合に。犬は人間にとって優秀なパ-トナーとなっている現状を踏まえると、「役に立たないとは何事だ!」とおしかりを受けそうです・・・。

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宮城県石巻市にて(7月26日)。日向の個体のため葉の色が黄緑色っぽくなっている。

話題を変えましょう。イヌホオズキは「ホオズキ」と名前につくことから想像できると思いますが、ナス科の植物です。ただ、ホオズキとは属が異なり、どちらかというとナスやトマトに近い植物で、ナス属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)になります。日本全国に分布するようですが、今はイヌホオズキに酷似した複数の外来種が定着しており、地域によっては殆ど見ない場所もあります。個人的には寒冷地ではイヌホオズキが優勢ですが、暖地では外来の類似種の方が多いような気がします。

イヌホオズキの特徴は次の3点です。
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①葉:葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)し、柄があり全縁(ぜんえん:葉の縁にギザギザがない)です。図鑑によっては脈上以外は殆ど無毛と書いてありますが、私はわりと短毛が多いような印象を持っています。短毛に関しては個体差があり、種を同定する決め手にはなりにくいのかもしれません。
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②花:花は直径1cm前後で、花弁は星型で白色、ナスの花を超小型にした感じ。星型の花弁のうでの部分が太い点が、類似する外来種との違いになるようです。ただし、かなり見慣れないと識別は難しいです。
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③実:実は4~8個ほどがつき、ナスのように黒紫色に熟します。果柄がつく軸は比較的明瞭です。一番の特徴は実をつぶすと種子以外の顆粒(直径1mm未満の球体)が入っていない点と、種子の直径が2mm程度と大きい点、種子数が50以下と少なめという点です。これは黒く熟した果実で確認するのがよいと思います。

在来種で似た植物はありませんが、外来種ではアメリイヌホオズキ、オオイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキといった酷似した種類があり、実がないと識別が難しいです(実があっても難しい場合も)。