身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

奥ゆかしく踊る-312.オドリコソウ-

3密を避けつつも外に出たい…という本能的欲求のせいか、最近河川敷の堤防を歩いたり走ったりしている人をよく見かけます。散歩にはいい季節ですしね。

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岐阜県関市にて(4月11日)。産地等記載無いものは撮影場所・撮影日同じです。

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花が大きいので近づくと派手ですが、色彩が淡いのでそれほど目立たないのかも。

河川敷の藪っぽい堤防で何気なく咲いていたのがオドリコソウです。堤防から見るとそれほど目立つ花ではないのですが、近づくと思ったより派手な容姿の花です。まず花の形がちょっと奇抜です。花の形は蛇が鎌首を持ち上げたような雰囲気で、ガクがトゲトゲしい感じです…。こう書くとオドロオドロしい感じで踊り子さんっぽくないですが、結構きれいな花で私は好きです(笑)。あとは花のつき方も特徴的です。葉の陰になるため花がやや目立たないのですが、葉の腋に意外とたくさんの花が集まっています。葉の陰で奥ゆかしく踊るきれいな踊り子さん達といった感じでしょうか。

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同じ河川敷でも白色の花をつける個体がある。色違いだけなので同じ種類です。

オドリコソウはシソ科オドリコソウ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州に分布します。やや湿った環境を好み、河川敷や里山の林縁や藪っぽい草地に生育します。

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神奈川県茅ケ崎市にて(5月20日)。この個体は葉が長めで関市で撮影した個体とはちょっと雰囲気が異なる。それでも同じ種類です。

花は今頃の4-5月頃に咲き(本州平野部)、夏ごろには他の草に覆われてしまって、だいぶボロくなってしまいます。うちの近所では淡い赤色の花と、クリーム色の花の2種類ありますが、西日本に行くと淡い赤色が大半を占め、北日本に行くとクリーム色が多くなるそうです。また、赤色系統の花をつける個体の茎は紫色を帯びることが多いですが、クリーム色の花をつける個体の茎は緑色です。岐阜は本州の真ん中あたりだから両方の色があるのかな?

花の形と、葉が対生、茎が四角いところを確認してもらえれば、とりあえずシソ科ということがわかります。そのうえでオドリコソウの特徴は次の3点です。

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①生え方:群生して多数の直立する茎を出します。茎は膝丈程度までの大きさです。

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②葉:葉は対生し、明瞭な葉柄(ようへい:葉の柄の部分)があり、尖った鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)が多数あります。全体の雰囲気がシソの葉に似ていますが、シソの葉の半分程度の大きさで、両面に毛が密生します。

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③花:花は葉の腋に輪生状に多数集まります。花の大きさは3cm前後、色彩は淡紅色~クリーム色、萼の先は長い針状です。

春先にこのような花が咲いていれば間違える植物はありません。山梨県北岳には亜高山帯に生育するオドリコソウがあり、花の時期が7-8月と大きく異なることからキタダケオドリコソウという変種に区別されているようです。