身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

無視しないでね!-239.ムシクサ-

きれいな花にスポットライトが当たりがちな春植物。非常に地味な花をつけるムシクサも春から初夏に出現する植物です。きっと「無視しないでねー」とつぶやいていることでしょう。

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岐阜県関市の借りている畑にて(4月22日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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花を拡大してみた。花の直径は2mm程度なので、よく見ないと気付かない。

ムシクサは水田や湿った畑地、河川敷等に出現する小型の雑草です。私が借りている畑でもこの時期にたくさん出現します。ムシクサのような水田雑草の仲間は春型と夏型に大きく分けられます。ムシクサ、タネツケバナスズメノカタビラのように冬に出現し、イネの作付け前に開花・結実してしまう種類が春型の雑草。コナギ、タマガヤツリ、イヌビエのようにイネの作付け後に出現し、夏から秋にかけて開花・結実する種類が夏型の雑草です。水田は春と夏で植物相がガラッと変わってしまう点で非常に面白い環境といえます。

話がそれてしまいましたね。
ムシクサはオオバコ科(昔のゴマノハグサ科)クワガタソウ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)で、日本全国に分布します。春に路傍や耕作地でよく見かけるオオイヌノフグリと同じ仲間です。

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多くの個体の先端に白っぽいアブラムシがついていた。これが虫こぶと関係するのか?

名前の由来は果実に虫こぶがよくつくられるためと言われています。虫こぶがつくられる植物はたくさんありますが・・・、変わった名付け方ですね。

ムシクサの特徴は次の3点です。
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①葉と花のつき方:葉は下部で対生(たいせい:葉が対になって着く)しますが、対生する葉は最下部の2-3対と少ないです。それより上部の葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)し、葉は上部に行くほど小さくなり、互生する葉の付け根に花がつきます。ですから、互生する葉の部分は正確に言えば花序(かじょ:花の集合)で、互生する葉は苞葉(ほうよう:小穂の下に付く葉)ということになります。
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②葉:下部の葉は狭楕円形で先端に不明瞭な鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)が少しあります。上部の葉は狭楕円形からヘラ型で不明瞭な鋸歯があるか、全縁(ぜんえん:葉の縁にギザギザがない)。葉は茎とともに無毛です。
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③花と実:花は直径2mm程度と小さく、花弁は白色で4裂。実は扁平でV字状の萼にはさまれます。虫こぶになった時は実が大きくなり球形になります。


あまり似た植物はないですが、枯れかけのタチイヌノフグリは似ているかもしれません。タチイヌノフグリは全草に短毛がある点で異なります。