2019年の出会いベスト5(第5位)-297.ヤマブキソウ-
今年も怪我無く歩きまわることができ、各地でいろんな植物と出会うことができました。それでは年末恒例の出会いベスト5~!第5位はヤマブキソウです。
宮城県白石市にて(5月17日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。
早春の植物という感じではなく、春真っ盛りに咲く印象です。
ヤマブキソウは初見の植物ではありませんが、以前に見たのは東京都の高尾山周辺に住んでいた頃なので、もうかれこれ10年以上も前でしょうか。場所は定かではありませんが、高尾山の周辺の料亭付近の山にヤマブキソウの群生地があったような気がします。遠目に見ましたが管理の行き届いたきれいな里山でした。
群生とはいってもこんな雰囲気。思ったよりは目立ちませんが遠くからでも気づく。
今年出会ったヤマブキソウは人為管理下に置かれたものではない、完全に野生の個体群でした。完全に野生ということにこだわれば、記憶に残っている限りでは初見と言ってよいのかもしれません。野生の個体群だけにややまばらではありますが、春なので少し離れた場所からでも群生していることに気づきます。これだけきれいな花だと盗掘が心配ですね…。
私的には珍しい植物という認識があり、盗掘の危険性もあれば当然絶滅危惧種に入っているものだと思っていたのですが、意外にも環境省の絶滅危惧種には入っていませんでした。私が見ていないだけで、意外と各地にあるものなのでしょうか? 絶滅危惧種ではありませんが、普通に見られる植物ではないと思うので、山でみつけても撮るのは写真だけにして、そっとしておいてほしいものです。
花は木本のヤマブキに似ていますが、ヤマブキの花は花弁が5枚ですね。
ヤマブキソウはケシ科ヤマブキソウ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州~九州の湿潤な落葉広葉樹林に生育しています。1属1種の植物のようで、東アジア特有の植物です。名前の由来は木本のヤマブキに似ている草ということでしょうね。
ヤマブキソウの特徴は次の3点です。
①大きさ:茎は直立して膝丈未満です。
②葉:葉は小葉(しょうよう:1枚の葉が分裂してできた個々の葉のこと)が3-7枚からなる羽状複葉で、互生します。ただ互生とは言うものの、目立つ茎の上部の葉は対生しているように見えないこともない。小葉は楕円形で尖った粗い鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があります。葉の形状や鋸歯の雰囲気は、個体差が結構あります。
③花:茎の上方の葉の腋に1~3個程度、黄色の大きな花を咲かせます。花は葉よりも上に咲き、花弁は4枚で、直径は4-5cmあります。
黄色の目立つ花と特徴的な容姿で、花が咲いていれば似た植物はありません。葉の形状でホソバヤマブキソウ(小葉の幅が狭く鋸歯が細かくそろっている)、セリバヤマブキソウ(小葉が羽状に細かく切れ込む)といった品種に区別されることもあるようです。