丹沢で出会った植物-154.シロヨメナ-
山はススキの穂が出てきて、秋の雰囲気が漂ってきました。ただ、この気温は明らかに夏ですね・・・。平野部は本当に厳しい暑さです。「早く秋よ来い!」という願いをこめて、秋っぽい植物を紹介したいと思います。丹沢でも、もうだいぶ咲いているでしょうか。シロヨメナです。
神奈川県清川村にて(9月16日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。
地下茎で増え、シカがあまり食べないせいか、明るい林床に群生する。
いわゆる「菊の花」らしい野菊といえば、だいたいが紫色系か白色系で、シロヨメナは白色系の代表的な種です。丹沢では、シカがシロヨメナをあまり食べないせいか、場所によってはかなり群生していて、花の時期はとてもきれいです。
シロヨメナはキク科シオン属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州(東北地方北部を除く)・四国・九州に分布します。広範囲に分布する種のため、地域や生育環境によって葉の形や茎の毛の形質などに違いがあり、多くの変種があります。そのため、分類が結構やっかいなグループの植物といえます。さらに紫色系の野菊の白花品などが出てくると、ますます混乱します。野菊の仲間は身近な植物ですが、類似品が多く、奥の深い植物達といえます。
シロヨメナの特徴は次の4点です。
①生育環境:山地の明るい樹林地、林縁、樹林に近い草地などに生育します。開けた草地や人家周辺の疎林では類似種のノコンギク(紫色系)のほうが多いです。
②茎:伏した短い毛が多少あります。
③葉:葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)します。形は細長い卵形で、柄は殆どないか短く、先はすらっととがり、鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)はとがり気味です。
④花:花びらのように見える舌状花は白色で、花の直径は1.5~2cmくらい。ノコンギクより小型です。