アートな花-249.オカトラノオ-
梅雨が終わった夏の初め、平野部や低山では意外と花が少なくなります。そんな時期にひときわ目立つ花をつけるのが、このオカトラノオです。
非常に斬新なデザインの花序。不思議とだいたい同じ方を向くんですよね~(7月4日)。
にぎやかな多数の花、スネ夫の髪型のような独特の形状、1回見れば忘れることはありません。しかも、地下茎で増えるため野外では群生することが多く、見ごたえもあります。
こんな感じで群生します。日当たりがよいので花付きもよかったです。
園芸植物に負けないくらいの美しさですね~。一般的に園芸価値の高い植物は人間による乱獲の影響を受け、個体数を減らす傾向にあります(例えばエビネやキキョウなど)。幸いオカトラノはその影響を免れているようです。多分、地下茎で増えるため、庭で制御しづらい点が乱獲を免れた要因ではないかと思います。芸術的な花がこのまま絶滅危惧種にならないことを祈ります。
オカトラノオはサクラソウ科オカトラノオ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州に分布します。草地や林縁に生育し、日当たりのよい草地ではたくさんの花を咲かせます。名前の由来は細長い花序を虎の尻尾に見立てたようですが、ちょっと太すぎるような気もしますね。
オカトラノオの特徴は3点です。
①茎:花が咲く頃には膝丈程度になります。茎には短毛がはえます。
②葉:葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)し、形状は楕円形~狭楕円形、全縁(ぜんえん:葉の縁にギザギザがない)で先端はとがります。葉柄付近は赤くなることが多く、両面に短毛がはえます(表面に多い)。
③花序と花:しっぽのような花序を茎の先端に1個つけます。花は下から咲き始めるため、花序の下部が太く先に行くほど細くなるようにみえます。花は白色で径約1cm、星型です。