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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

アートな花-249.オカトラノオ-

梅雨が終わった夏の初め、平野部や低山では意外と花が少なくなります。そんな時期にひときわ目立つ花をつけるのが、このオカトラノオです。

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福島県いわき市にて(7月3日)。以下、撮影場所は同じです。

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非常に斬新なデザインの花序。不思議とだいたい同じ方を向くんですよね~(7月4日)。

にぎやかな多数の花、スネ夫の髪型のような独特の形状、1回見れば忘れることはありません。しかも、地下茎で増えるため野外では群生することが多く、見ごたえもあります。

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こんな感じで群生します。日当たりがよいので花付きもよかったです。

園芸植物に負けないくらいの美しさですね~。一般的に園芸価値の高い植物は人間による乱獲の影響を受け、個体数を減らす傾向にあります(例えばエビネやキキョウなど)。幸いオカトラノはその影響を免れているようです。多分、地下茎で増えるため、庭で制御しづらい点が乱獲を免れた要因ではないかと思います。芸術的な花がこのまま絶滅危惧種にならないことを祈ります

オカトラノオサクラソウオカトラノオ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州に分布します。草地や林縁に生育し、日当たりのよい草地ではたくさんの花を咲かせます。名前の由来は細長い花序を虎の尻尾に見立てたようですが、ちょっと太すぎるような気もしますね。

オカトラノオの特徴は3点です。
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①茎:花が咲く頃には膝丈程度になります。茎には短毛がはえます。
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②葉:葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)し、形状は楕円形~狭楕円形、全縁(ぜんえん:葉の縁にギザギザがない)で先端はとがります。葉柄付近は赤くなることが多く、両面に短毛がはえます(表面に多い)。
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③花序と花:しっぽのような花序を茎の先端に1個つけます。花は下から咲き始めるため、花序の下部が太く先に行くほど細くなるようにみえます。花は白色で径約1cm、星型です。


似たような植物にはヌマトラノオとノジトラノオがあげられます。ヌマトラノオオカトラノオと異なり湿地に生育し、全体がより小型で花序が立つ点が異なります。オカトラノオヌマトラノオの雑種でイヌヌマトラノオというのがあり、それは両親と中間的な特徴を有しているそうです。ノジトラノオオカトラノオにそっくりで、茎の毛が長く密生する点で異なります。ノジトラノオ絶滅危惧種に指定されているので、そうそう目にすることはないと思います。私も一度見たことがあるだけです。