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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

迷惑な植物-285.オオブタクサ-

ブタクサに引き続き迷惑な植物の紹介です。迷惑の被害の大きさで言えばブタクサよりもオオブタクサの方がひどいかもしれません。

 

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佐賀県多久市にて(9月23日)。この個体は人の背丈より低い小型のものです。

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新潟県阿賀野市にて(9月20日)。シルエットですが、これは見上げるくらいの大きさです。

 

その名の通りブタクサよりも大きくなる植物なのですが、その大きさはなんと4mになることも!こんな巨大な草で一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)というのですから、どれだけ効率よく成長しているんだ…といった感じです。このアメリカンサイズからも想像できますが、オオブタクサは北米原産の外来種です。オオブタクサは1950年頃に侵入し、今ではほぼ日本全国に分布を広げました。分散スピードの速さといい、植物体の大きさといい、植物界の「進撃の巨人」です。

 

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佐賀県多久市にて(9月23日)。1個体当たりの雄花の数はブタクサよりも多い!

 

オオブタクサはブタクサと同じキク科ブタクサ属の植物で、ブタクサ同様その花粉は花粉症の原因になっています。そしてこれだけ大きくなるのですから、ばらまく花粉の量はブタクサよりも確実に多いと思います。オオブタクサ群落の中で仕事をすると、頭上から大量の花粉が降り注ぎます。さすがに花粉症ではない私でも、これはやばそうだと思うので、オオブタクサの繁茂は花粉症の方にとってはとても脅威といえます。

 

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新潟県新潟市にて(9月19日)。黄色っぽく見えるのが全てオオブタクサ。ひゃ~!

さらにオオブタクサはその巨大な植物体を利用して、圧倒的に優占する群落を形成します。特に耕作地が隣接するような富栄養な河川敷では数年間は群落を持続させます。これは人間だけでなく、在来の植物にとってもかなりの脅威でしょう…。そしてオギやヨシ、セイタカアワダチソウ等の多年草が侵入して生育に不適な環境になってしまうと、ブタクサ同様、種子を休眠させて次の発芽時期を待ちます。オオブタクサは植物体が大きいので眠っている種子の数はブタクサよりも多いと思われます。

オオブタクサはブタクサよりも遥かに侵略性の強い外来種といえますね。オオブタクサの特徴は次の3点です。

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①茎:茎は直立して、通常1.5-2m程度になります。大きいものでは4m程度まで成長する一方で、一年草という性質上、生育環境があまり適していないと、膝丈程度で開花・結実している個体にも出会います。

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②葉:葉は対生(たいせい:葉が対になって着く)します。形は通常掌状に3-5裂しますが、若い時期の葉や茎の上部の葉は分裂しないで卵形になる時もあります。縁には鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があり、全体にザラザラした短毛があります。

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③花序と花:花のつくりはブタクサとほぼ同じで、花序は茎の先端と、上部で分枝した枝の先端につきます。花序は細長く、花序の7-8割は雄花で、雌花は花序の根本付近にのみつきます。雄花は皿を伏せたような形をして中にたくさんの雄蕊がつまっており、黄色です。雌花は総苞(そうほう:キク科植物の花の基部の鱗状の苞が集まった部分。普通の花の萼のように見える部分)苞葉(ほうよう:小穂や花の下に付く小さな葉)に包まれ緑色。一見すると葉が集まっているだけのように見えます。

オオブタクサに似ている植物はありません。オオブタクサとブタクサが国内に入って来ていなかったら、秋の花粉症の人口はもっと減っていたかもしれませんね…。