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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

春を彩るツツジの仲間-274.ヤマツツジ-

ヤマツツジは野生のツツジの仲間では最も普通の種類と言ってもよいと思います。ツツジの仲間は赤色系統の花をつけるものが多いですが、ヤマツツジは朱色に近い赤色の花をつけ、この色彩は大きな特徴と言えます。

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岐阜県各務原市にて(4月8日)。この地域では最も普通のツツジの一つです。

春を感じる花はいろいろあると思いますが、ツツジの仲間も春を代表する花と言えますね。5月に入ると自宅近隣の個体の花は殆ど終わってしまいますが、山地や北の地方では5月下旬頃までは花が見ることができます。

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青森県横浜町にて(5月20日)。マツの疎林の中の花付きのよい個体。

ヤマツツジはごく普通の植物ということもあり、地域によっては樹林内の低木層以下で優占することもあります。特に人手が適当に入ったコナラ林のような明るい落葉広葉樹林ではヤマツツジがたくさん咲き、そのような景観に出会うとすごくウキウキした気分になります。珍しい種類のツツジを見に行くのもよいですが、ごく普通のツツジがたくさん咲いている景観も素晴らしいですね。

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越冬していたヤマツツジの葉。去年出た夏葉のようです。岐阜県各務原市にて(4月8日)。

ヤマツツジツツジツツジ属の半落葉低木(はんらくようていぼく:冬に大半の葉を落とすが一部は常緑で残る、4m程度以下の木本)で、北海道~九州の落葉広葉樹林内や林縁に生育します。どちらかというと乾燥気味の明るい立地を好むため、尾根や南側の斜面に多いような気がします。

ヤマツツジの特徴は次の3点です。
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①枝:枝には平べったい毛が伏した感じで密生します。その年出たばかりの枝の場合は毛の色が白色ですが、2年目以降は褐色になります。
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葉:葉は枝先に集まりますが、よく見ると互生しています。夏の伸長している枝を見るとその特徴がよくわかります。春に出る葉は楕円形で幅が広めですが、夏以降に出る葉は狭楕円形で幅が細めです。この夏以降に出る葉の一部が暖地では常緑で越冬することがあります。全体に褐色の長毛が散生し、裏面の脈上は特に多いです。
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花:花は春先の4-5月頃、葉が開くのと同時くらいに咲きます。花の色は朱色で花冠(かかん:筒状になった花弁のこと)上部内面に濃い赤色の斑点があります。雄蕊は5本です。

ツツジの仲間は種類が多いので同定が難しいのですが、朱色の花が咲いていて、楕円形の葉がついていれば、ヤマツツジと思ってよいと思います。同じような朱色の花が咲くツツジ類としては、ミツバツツジの仲間のオンツツジやアマギツツジ、渓流の川岸に咲くサツキ、高原の草地や林縁に咲くレンゲツツジ等があげられます。いずれも葉の形がヤマツツジとは異なるので、多くの場合はすぐに見分けられると思います。