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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

遅咲きのアジサイの仲間-251.ノリウツギ-

陽花というと梅雨時の花のイメージが強いですね。ノリウツギアジサイの仲間ですが、梅雨が終わってから咲き始める夏の花です。

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福島県いわき市にて(7月4日)。以下、撮影場所は同じです。

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天候が悪くてちょっと映えませんが、夏の濃い緑色と青空にとても映えます(7月4日)。

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装飾花があるのでアジサイの仲間とすぐわかります。

名前にウツギとついているので紛らわしいですが、装飾花のついている花を見ればアジサイに近縁であることがわかります。野生種のヤマアジサイやエゾアジサイに比べると花序が円錐形になり、より立体的な花になります。そのため、厳密にはアジサイと同じ属ではありません。夏は花の少ない時期なので、白い花が緑濃い森によく映えます。

私は20代までは関東に住んでいたので、家の近所でノリウツギはあまり見たことがなく、ノリウツギは山地のちょっと涼しい地域に生育する植物というイメージを持っていました。ところが岐阜に移り住んだら、うちの近所の裏山などにも生育し、東海地方では平地近くにも生育しているのを見てだいぶ驚きました。涼しげな花という上品なイメージがちょっと崩れてしまいました。皆さんの近所にはノリウツギはありますか?

ノリウツギアジサイ科(旧分類ではユキノシタ科)ノリウツギ属の落葉低木(らくようていぼく:冬に葉を落とす、4m程度以下の木本)で、北海道~九州(屋久島まで)に分布します。先駆性の樹種で、伐採跡地や林縁でよく見かけます。冷涼な地域ほど生育量が多く、北海道や東北地方では湿地周辺などにも生育し、夏の湿原を彩ります。

ノリウツギの特徴は次の3点です。
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①葉のつき方:葉は基本的に対生(たいせい:葉が対になって着く)します。しかし、今年伸びた太い枝などでは、かなりの頻度で3輪生、4輪生することがあります。
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②葉:形状は楕円形~卵型で、縁にそろった細かい鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があります。葉柄は赤色を帯びることが多いです。葉の表面と裏面脈上には伏した細かい毛がありますが、表面の毛はしだいになくなります。最初の頃はエゾアジサイヤマアジサイとなかなか区別ができませんでしたが、ノリウツギは葉柄が長く、細かい揃った鋸歯が出る点で異なります。
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③花:茎の先端に円錐形の大きな花序がつきます。花は白色で、外側にはアジサイに似た装飾花がつきます。


花が咲けばまず間違う植物はありません。葉だけだと、ヤマアジサイやエゾアジサイが似ています(違いは前述のとおりです)。また、ズイカズラ科のタニウツギ、ニシキウツギ、ハコネウツギなんかも似ていますが、これらの葉の葉柄は非常に短く、葉脈の走り方や、葉の質も大きく異なります。見慣れれば間違うことはありませんが、慣れるまでは葉だけでの識別は難しいかもしれませんね。