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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

梅雨に似合う花-245.ガクウツギ-

ちょっと薄暗い林道を歩いていると、遠くの白いアジサイの花が目に飛び込んできました。ヤマアジサイかな~と思ったけど、近づくと葉がテラテラと光っています。おっ、ガクウツギだ

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静岡県川根本町にて(5月17日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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この距離に近づくと、ヤマアジサイではないということがわかりますネ。

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葉の光沢感わかりますかね~。写真にすると難しいですね・・・。

最近は東日本や岐阜県の山に入ることが多く、久々に出会った感じです。ガクウツギは別名コンテリギ(紺照木)とも呼ばれます。光の加減で紺色にテカテカ光る葉の特徴をとらえた名前のようです。この光沢感はきれいというより、暗い森では怪しさを感じさせます。

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花を見ればアジサイの仲間ということがすぐにわかります。萼片は3枚のことが多い。

名前に「ウツギ」とついていますが、ウツギの仲間ではなくアジサイの仲間です。まあ、花を見ればアジサイの仲間とすぐわかりますが、「ガクウツギ」という名前はちょっとまぎらわしいですね。

ガクウツギは最近のAPG分類体系ではアジサイ科(昔はユキノシタ科)アジサイ属の落葉低木(らくようていぼく:冬に葉を落とす、4m程度以下の木本)で、本州(関東南部・東海・近畿)、四国、九州に分布します。ヤマアジサイよりも暖地に分布する印象があり、常緑広葉樹林帯域の谷沿いでよく見かけます。岐阜県では美濃地方に分布し、産地に行けば多いですがどこにでもある感じではないです(個人の印象です)。暖地では冬に完全に葉が枯れない時もあるようです。

ガクウツギの特徴は次の3点です。
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①枝:当年枝(とうねんし:その年伸びた枝)は紫色を帯びた緑色で、2年目以降は褐色になります。類似種のコガクウツギとは枝の色が異なります。
②葉:葉は対生(たいせい:葉が対になって着く)します。形状は細い楕円形で、ほぼ全体に鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があり、葉の先はスラーッと伸びる傾向にあります。写真だとわかりづらいですが、表面は光沢があり、両面ともまばらに毛がはえます。
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③花: 普通の花と装飾花があり、装飾花の萼片は白色で3-4枚(3枚のことが多い)。ヤマアジサイに比べると花と花の間隔が広く、花序が間延びした感じになる。


だけ見るとヤマアジサイに見えますが、葉を確認すればヤマアジサイではないことがすぐわかります。似た植物にコガクウツギがありますが、コガクウツギは葉や花序が小さく、当年枝や2年目以降の枝の紫色が濃い点で異なります。奄美諸島琉球諸島には他にも似た種類があるようですが、地域限定品なので省略します。