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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

春は山菜!-269.タラノキ-

スーパーで「タラの芽」をよく見かけるようになりました。まだ野外では早い気もしますが、ハウスとかで栽培しているのでしょうか?それとも南国ではもう時期なのかな?職業柄、自分で採ることはあっても、スーパーで買うことはあまりないですね。

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福島県いわき市にて(4月26日)。スーパーで並ぶのはこの状態の芽。

「タラの芽」はタラノキの芽のことで、いわゆる木の芽です。「こんな芽の時期でよくわかるもんだ」と思う方もいらっしゃいますが、タラノキは幹に棘のある木で、分枝が少なく、木の先端に太い芽をつける特徴があります。ですから慣れると簡単に見分けることができます。簡単に見分けられるようになると、たくさん採りたくなる気持ちもわかりますが、採集の際はちょっと注意が必要です。先端の太い芽を採ってしまうと、当然先端は伸びることができません。そうすると脇の芽が伸びるようになるのですが、その芽も取って・・・というのを繰り返すと、木が弱って枯れてしまいます。

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私はこの状態の芽の開いた葉だけを採ります。そうすると樹は生長もでき、私はスーパーの「たらの芽」よりも大きなものが食べられます。味は若い芽とかわりませんよ。

タラノキは山に行けばごく普通にはえている木で、それほど配慮を求められる木ではありませんが、やはり採り過ぎは考えものです。採集する際はその日食べるだけの少量を採る程度にしたいものです。

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長崎県諫早市にて(8月3日)。夏になると幹の先端に白い大きな花序をつけます。

タラノキウコギ科タラノキ属の落葉低木(らくようていぼく:冬に葉を落とす、4m程度以下の木本)で、北海道~九州の低山に分布します。先駆性の木本で裸地や草地にいち早く侵入しますが、寿命は短いです。そのため樹林内に生育することは少なく、林縁で見かけることが殆どです。

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福島県いわき市にて(10月16日)。秋になると直径3mm程度の黒い実がたくさんなります。

ちなみにタラノキを好むのは人間だけではないようです。タラノキは秋に大量の実をつけ、鳥はこの実が大好きです。そして、食べれば当然糞をしますよね。タラノキは生育適地である裸地や草地まで種子を鳥に運んでもらうようです。

タラノキの特徴は次の2点です。
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①幹:幹はあまり分枝せず、鋭いトゲが密につきます。たまに殆どトゲのない個体があり、そのような個体はメダラという品種に区分されます。
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②葉:葉は互生し、2回羽状複葉(複葉の解説はコチラです。大きさは個体のサイズによっても変わりますが、大きいものでは長さが1m以上になります。小葉は楕円形~卵形で鋸歯があり、葉の軸上には細長い鋭いトゲがあります。葉のトゲについてもメダラは無いか、ごく短いトゲがまばらにある程度です。この葉の形が特徴的です。

沖縄県タラノキリュウキュウタラノキという別種で、伊豆諸島のタラノキはシチトウタラノキという別変種(リュウキュウタラノキの変種)です。いずれもタラノキと異なりトゲが殆どないことが特徴のようです。これらはタラノキとは分布が異なるようなので、北海道~九州ではタラノキに似た植物は無いと言ってよいと思います。