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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

簡単に見分けられるシダ-270.トラノオシダ-

新年度最初に紹介するのはトラノオシダです。春とは全く無関係な植物ですが、先日撮影してきたので紹介します。

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岐阜県関市にて(3月22日)。石垣の隙間に群生しています。以下、撮影日撮影場所同じ。

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自宅の庭にはえてきた個体。高さ10cm程度の小型の個体ですが胞子はつけてます。

トラノオシダはチャセンシダ科チャセンシダ属の常緑性のシダ植物です。日本全国に分布するごく普通のシダ植物ですが、北海道や琉球ではちょっと少なめのようです。トラノオシダは生育環境がとても広く、都会の石垣から低山の林縁や明るい林内の林床にまで生育します。チャセンシダ科の中では最も普通の種類なので、是非覚えておきたいシダ植物の一つです。それほど識別の難しいシダ植物ではありませんが、分布域が広い上に生育環境も様々なので、個体変異が著しいところが初心者泣かせかもしれません。

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少し見づらいですが庭の大型の個体。別の種類に見えなくもない。

名前の由来は、葉の細長い形状を虎のしっぽに見立てたようですが、特に虎っぽいわけではありません。チャセンシダ科の仲間はトラノオシダと同じように細長い形状のものが多いせいか、ヌリトラノオ、イワトラノオ等・・・、○○トラノオといった名称のものが多いです。いろんな「トラノオ」があるので、名前が混乱しそうですネ。

トラノオシダの特徴は次の3点です。
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①葉の形・大きさ:葉の全体の形は披針形(ひしんけい:かなり細長い卵型)で、12回羽状に分裂します。大きさは葉柄部分を入れると1040cm程度で、同じ株でも胞子のつく葉ほど大きくなる傾向があります。大きな葉ほど切れ込みが細かくなるので、大型の個体と小形の個体を比較すると異なる種類のように見えるかもしれません。
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②葉の色:葉の色は黄緑色から明るい緑色です。明るい環境を好むため黄緑色の印象が強いですが、日陰にはえると葉の色が濃くなるので、色彩は注意が必要です。
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③葉柄と葉の軸:葉柄の一番基部に近いところは葉柄全体が黒色~暗褐色で、葉柄上部よりも上側になると軸の裏側のみが暗褐色になり、そのさらに上側は全体が緑色になります。軸は表面に窪みのみがあります。この軸の窪みについては慣れないと、ちょっとわかりづらいと思います。


あまり似たシダはないですが、初心者にとってはチャセンシダ科全てが似ているといってもよいかもしれません。比較的よく見るチャセンシダ科の植物としては、コバノヒノキシダとイワトラノオなんかがあげられます。コバノヒノキシダとイワトラノオトラノオシダに比べると葉の切れ込みが細かく、葉の基部側がそれほど狭くならないといった点で異なります。