成長した春の七草-2.ナズナ-
花期の頃のナズナ全体の様子。花は多数咲いているのですが、いかんせん小さい・・・。
春の七草を摘む頃はロゼットの状態で、他のアブラナ科の植物と区別が難しかったですが、この時期になると簡単に識別できるようになります。ただ、この時期のナズナは硬いので、食べるのには向いていません。春を感じる野菜のアブラナは花序を食べますが、多くのアブラナ科の野菜(ハクサイ、キャベツ、ミズナ等)は花がついてしまえば、もう食用にしませんよね。それと同じですね。
別名ペンペン草。実の部分の柄を引っ張ってダラーンとさせた後に振ると音がします。
ナズナはアブラナ科ナズナ属の越年草(えつねんそう:秋に発芽して冬越し、翌春に開花・結実して枯死する)で、日本全国ばかりでなく北半球に広く分布します。水田や畑の周辺、路傍にごく普通に見られる植物です。世界中の道端にはえている草と聞くと相当タフな感じですが、意外にも他の植物との競争には弱い雰囲気です。路傍といってもススキやヨモギのような多年草が多く茂っている草地には殆ど生育せず、人に踏まれる農道や、常にかく乱される耕作地周辺なんかに限って多く生育しています。他の植物がたくさん定着すると場所を明け渡してしまう、おくゆかしい植物のようですネ。
わだちから外れたところに生育するナズナ。踏みつけには強いのに意外です。
①葉:花が咲いている時期でも根生葉(こんせいよう:地面際に付く葉)はありますが、春の七草で食べる頃に比べるとボロくなります。根生葉は羽状複葉(うじょうふくよう:コチラ参照)ですが、茎の葉は全縁(ぜんえん:葉の縁にギザギザがない)で基部は茎を抱きます。葉の形状は個体差があるみたいです。
②花序と花:花は下のものから咲き始め、咲き始めるとともに花序(かじょ:花の集合)がどんどん長くなり、多数の実が花序の下側に付く頃には長さが20cm以上になるものもあります。花は白色で花弁は4枚、長さは3-4mmで萼よりも明らかに長いです。
③果実:果実はハート型、もしくは三味線のバチのような形をしています。この実の形が特徴的で、在来の植物では似たものはありません。