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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

トゲのある植物-228.ノイバラ-

先日は節分でしたね。豆をまいて、ヒイラギイワシを窓辺に置きましたか?鬼はヒイラギのトゲが苦手みたいですが、私もトゲのある植物には毎年泣かされています。節分→オニ→トゲつながりで、トゲのある植物を紹介します。トゲのある植物の代表格といえば、ノイバラでしょう。

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神奈川県平塚市にて(5月20日)。園芸バラの原種ですね。このままでも十分きれい。
 
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きれいな花にはトゲがあるとはよく言ったものです。
 
初夏に香りの強い真っ白な花をたくさんつけます。園芸のバラは世界中のこのような野生のバラを掛け合わせることによって出来たようです。園芸の色とりどりのバラもきれいですが、野生のシンプルなバラの花も個人的には大好きです。
ノイバラは河原に群落をつくることが多いので、花の時期に行くと、ちょっとしたバラ園のような感じになります。近づいて写真をとったり、散策したい気分になりますが、近づくとかなり痛い目にあいます。というのも、茎のトゲがすごい丈夫で、かなりとがっています。特に花の終わった夏以降は茎や葉も硬くなり、そんなところ歩こうとすれば、服やカッパに穴があいたり、血が出たりと、そりゃまあ大変なことに・・・。まあ、普通の人は花の無い時期にそんなところ歩かないですね・・・。

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岐阜県各務原市にて(10月29日)。多数の実をつけ、繁殖力も旺盛です。
 
今頃はもう実がないかもしれませんが、秋の時期のたわわに実をつけた容姿も悪くないです。晩秋から冬季には鳥たちの貴重な餌となっていることでしょう。

ノイバラはバラ科バラ属の落葉低木(らくようていぼく:冬に葉を落とす、4m程度以下の木本)で、北海道から九州に分布しています。バラの仲間では最も普通で、低地の河川敷に多く、林や湿地周辺など、明るい環境でよく見られます。

ノイバラの特徴は次の3点です。
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①茎:茎は弓なりに2m程度までは伸びますが、つる状に長くは伸びません。茎に鋭いトゲがあります。
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②葉:葉は互生し、一回羽状複葉(いっかいうじょうふくよう:葉の軸が伸びて小葉が3枚以上付き、葉の軸は分枝しない)で小葉は5-9枚。葉の形状は変異がありますが、小葉は楕円形で鋸歯があり、裏面や軸には毛があります。バラの仲間では唯一、托葉(たくよう:葉の付け根付近にある葉のようなもの)が櫛状になり、腺毛(せんもう:先端が球になる毛)があります(量は様々)。
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③花:円錐花序(えんすいかじょ:枝が多数分枝して、円錐形の形となる花の集まり)に白色の花を多数つけます。花の直径は2cm程度で、雌しべは無毛です。


バラの仲間は似たものが多い上に、変異も大きく、容易に雑種をつくる(この性質が園芸品種をつくるのに役立っている)ようです。こんな理由から分類が難しいものもありますが、ノイバラは托葉の形が特徴的なので、他種と容易に区別できます。花序に赤色の腺毛を密生し、花の直径が3-4cmと大きく、花の色がうすいピンク色となるものはツクシイバラという変種に分けられます。