身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

地元で撮影した植物-193.イヌガラシ-

「畑や水田の畦にはえアブラナ科の植物で、目立たない黄色の小さな花をつける植物は何?」と聞かれれば、候補の1つにこのイヌガラシを思い浮かべる方が多いことでしょう。

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岐阜県関市にて(5月20日)。根が深くて、大きな個体はなかなか引き抜けない。

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岐阜県関市にて(5月20日)。花の咲いていない個体で、春先は皆こんな感じ。

春先の花の咲いていない時期だと、春の七草ナズナと雰囲気が似ています。生育環境もだいたい同じです。ナズナに比べると葉の切れ込みが少ないので慣れればわかりますが、この状態だと識別が難しいかもしれません。一般的には食べませんが、一部の書籍では山菜としても扱われており、ナズナと同じアブラナ科なので、間違って食べても特に問題はありません。

イヌガラシはアブラナ科イヌガラシ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、日本全国に分布します。

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河原にもよく生えるイヌガラシ。神奈川県川崎市にて(5月23日)。

耕作地や水田周辺の他、平野部の河川敷の湿地などでもよく目にします。そのため、湿地を好む湿生植物なのか、湿地に固執しない中生植物なのか、判断に迷うところです。イヌガラシは極端に乾燥するような場所では生育しませんが、特に水分条件を選ばないようなので、私の感覚としては湿生植物とは言えないような気がします。

イヌガラシの特徴は次の3点です。
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①葉:根元の葉は羽状に少し切れ込みますが、茎の葉は不規則な鋸歯がある程度です。
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②花:花は小さく黄色です。アブラナ科の共通の特徴として、花弁は4枚で花序の下から順に咲いていきます。
③実:果実は長さ2cm前後で、果実の柄よりも果実の方が明らかに長くなります。アブラナ科のこのようなタイプの果実は長角果(ちょうかくか:果実の長さが幅の3倍以上)と呼びます。


同じような環境に生育する類似種としてスカシタゴボウがあげられます。

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類似種のスカシタゴボウ。神奈川県平塚市にて(7月7日)。

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スカシタゴボウは冒頭の問いの回答のもうひとつの有力候補と言えます。イヌガラシとスカシタゴボウの明らかな違いは果実の形です。スカシタゴボウの果実は5mm程度と短く、柄の長さと同じぐらいです。