美しいお名前-240.ヒトリシズカ-
ゴールデンウィークを過ぎるとうちの近所(岐阜県南部)はすっかり初夏の装いです。でも日本は広く、北日本や標高の高い地域では春まっさかりの頃でしょう。もう少し春の気分でいたいので、春植物を紹介していきます。ヒトリシズカです。
いかにも美人という雰囲気の名前で、名前にぴったりの容姿をしています。しかもすごい目立つというわけではなく、控えめにきれいといった感じです。日本人好みの花だと思いませんか?ヒトリシズカというからには一人でたたずんでいるかと思いきや、結構かたまって生育していることが多いです。
ヒトリシズカはセンリョウ科チャラン属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州の落葉広葉樹林内に生育します。一見すると春が終わると枯れてしまうような印象を受けますが、夏以降も葉は元気に生育します。
ヒトリシズカの特徴は次の3点です。
①葉:鋸歯のある大きな葉は4枚で、4枚が輪生(りんせい:1節から3枚以上の葉が着く)するように見えます。でもよく見ると、輪生ではなく対生(たいせい:葉が対になって着く)する2枚の葉が非常に近接してついているということがわかります。葉には光沢があり、夏場でも若干つやがあるように見えます。
②花序:試験管ブラシのような花序が茎の先端に1個だけつき、長さは花の時期で2-3cm。多数の花をつけます。
③花: 花は白色。白色に見える糸状の部分は花弁ではなく、雄蕊の一部(正確には約かくと呼ぶ)で、長さは5mm程度です。