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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

目立ちすぎる花は外来種-324.ハルシャギク-

河川敷に随分目立つ花が咲いていました。植えた感じではなく自然な雰囲気で咲いていますが、これは外来種ハルシャギクです。

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神奈川県川崎市にて(7月1日)。以下、産地同じものは撮影日同じです。

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いかにも園芸植物といった雰囲気ですが、各地で増えています(神奈川県川崎市)。

遠くから見ると黄色の花ですが、近づいてみると舌状花の中央付近は赤褐色に染まっています。ハルシャギクに近い配色としてはキク科のヒマワリやアラゲハンゴンソウなどがあげられますが、これらは筒状花(中央部分)が褐色系統の色彩で、舌状花が黄色という感じです。キク科の仲間では筒状花舌状花で色彩が異なるというのはよくありますが、ハルシャギクのように舌状花が色分けされているものはそんなに多くないと思います。

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この個体は赤褐色に染まる部分が広い(神奈川県川崎市にて)。

さすが外国から来ただけあって、デザインが斬新です。しかも、この赤褐色に染まる程度は花ごとによって異なり、なかなか個性があります。

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花付きがよいので、群生すると見栄えがします。神奈川県平塚市にて(7月7日)。

ハルシャギクは北アメリカ西部原産の外来種で、明治の初めに観賞用として渡来したものが拡散したようです。キク科ハルシャギク属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)もしくは越年草で、ほぼ日本全国に広がっています。私は雨が降ると湿地になるような河川敷のやや湿った草地に多い印象を持っていますが、乾いた砂礫地なんかにも生育します。耐水性と耐乾性の両方を備えている、かなり強い植物です。河川敷では最近よく目にする外来種の一つだと思います。

ハルシャギクの特徴は次の2点です。

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①葉:葉は対生し、形状は1-2回羽状複葉で、裂片は線形で細くなります。茎とともに無毛で、ツルッとした感じの質感です。コスモスの葉に雰囲気が似ていますが、コスモスに比べると葉の裂片は太めで、切れ込み方が単純です(コスモスの方が複雑)。

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②花:花の直径は4-5cmで、筒状花は赤褐色、舌状花は黄色で中央部(舌状花の半分前後)は赤褐色に染まります(キク科の花の解説はこちら)。

同じ園芸植物で逸出帰化している、オオキンケイギクやキバナコスモスは花の雰囲気は似ていますが、中央部が赤褐色に染まりません。葉だけでハルシャギクと同定するのは難しいですが、花が咲けば似た植物はないと言ってよいでしょう。