身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

秋はくっつき虫-215.メナモミ-&-216.コメナモミ-

衣類へのくっつき方にはいくつかタイプがありますが、メナモミとコメナモミは粘着タイプの「くっつき虫」です。この2種はそれほど頻繁にくっつくことはないかもしれません。

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メナモミ。岐阜県飛騨市にて(10月4日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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メナモミ。花にモウセンゴケにあるような粘着性の腺毛が密生する。

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コメナモミ。青森県西目屋村にて(9月16日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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コメナモミ。「コ」と名前がつくだけにメナモミよりかは華奢。

粘着タイプの果実は表面に接着剤のような物質がついています。メナモミとコメナモミの花を触るとわかりますが、かなりベトベトしています。これは花に腺毛という先が球状になった毛が多数はえていて、そこから粘着物質を出しているからです。それではメナモミとコメナモミの種子にも同様な粘着物質がついているかというと、実はそうではなかったのです!
メナモミとコメナモミの種子自体には粘着性はないのです!

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メナモミとコメナモミの種子は鱗片総苞片という超小型の葉のようなものに包まれていて、鱗片総苞片に粘着性があるのです。鱗片総苞片で人や動物に付着し、何かの拍子で種子がコロンと離れ落ちるという仕組みです。
これはよくできた仕組みですねーずーっとくっついていたら、人間にゴミ箱に捨てられるか、洗濯機のゴミ取りにひっかかってしまいますもんねー。
ちなみにメナモミ類の種子が大量にくっつくと衣類や手がベトベトになり、さらに他の種子やほこり等を衣類に引きつけます・・・まあ、洗濯すればベトベト感や汚れはおちますが、あまりにも汚いと他の洗濯物と洗うのにためらいますね。

メナモミ、コメナモミともキク科メナモミ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)で、メナモミは北海道~九州に、コメナモミは北海道から琉球に分布します。どちらも林縁に生育し、普通の方が散歩するような道路・農道脇、河川敷などの開けた環境では殆ど見かけないと思います。

メナモミの特徴は次の3点です。
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①茎:緑色かやや紫色を帯び、白色の開出した毛を密生します。手に取らなくても毛深いのがわかります。
②葉:葉は対生(たいせい:葉が対になって着く)し、形は三角形状の広卵形、縁に不揃いの鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があり、葉柄には翼(よく:柄の部分まで伸びる葉の一部分)がつきます。茎同様に毛が多く手触りがよいです。
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③花:花は黄色で、直径1-1.5cm程度。花びらのように見える舌状花(ぜつじょうか)はかなり小型で、一見すると花びらの無い花のように見えます。萼のように見える総苞(そうほう:キク科植物の花の基部の鱗状の苞が集まった部分。普通の花の萼のように見える部分)に腺毛が密生します。

コメナモミの特徴は次の3点です。
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①茎:紫色を帯び(たまに緑色の時も)、伏した短毛がはえます。手に取らなければ無毛のように見え、メナモミに比べると茎が細い感じがします。「コ」と名前につきますが、それほどメナモミと大きさに違いはない印象を私は持っています。
②葉:葉のつき方や形状はメナモミと殆ど同じですが、伏した毛がまばらにはえる程度で、フサフサした手触りはありません。
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③花:花のつくりはメナモミと同じですが、花は一回り小さく、全体的にメナモミよりも毛は少ないです。花は小さいといっても数mm程度の違いなので、殆ど同じといってもよいですネ。


メナモミの仲間は種類が少ないため、この特徴的な花を見ればすぐにわかると思います。その他の類似種としてはツクシメナモミがあげられます。ツクシメナモミは南方系で私の住む岐阜県にはありません。数回見たことがありますが、メナモミやコメナモミと枝の分かれ方や葉の形が少し異なります。並べて見れば違いはわかりますが、ツクシメナモミだけに出会うと気づくのが難しいかもしれません。