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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

葉の形について(その2)

「その1では1枚の葉の形についてお話しましたが、「その2」では単葉もしくは複葉の小葉の葉身(ようしん:柄を除いた葉の部分)の形について少し説明します。葉身の形を説明する際によく用いられる用語は多数あるのですが、一般的には楕円形、卵形、倒卵形の3タイプがあります。

●楕円形の葉のタイプ
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 楕円形の葉の葉身は中央付近の幅が最も広くなるのが共通の特徴です。幅が極端に狭くなればほぼ線状になり、そのような葉は線形となります。逆に幅と長さが一緒になれば円形になります(写真無し)。幅と長さの比は様々で、比較的幅が狭ければ狭楕円形、比較的幅が広ければ広楕円形という具合で呼ばれます。全体的に角ばっているような葉は菱状楕円形、そのまま菱形などと呼ばれることもあります。

●卵形の葉のタイプ
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 卵形の葉の葉身は中央よりも葉柄に近い側の幅が最も広くなるのが共通の特徴です。幅が極端に狭くなればほぼ線状になり、そのような葉は線形となります。幅と長さの比は様々で、比較的幅が狭ければ狭卵形、比較的幅が広ければ広卵形という具合で呼ばれます。全体的に角ばっているような葉は三角状卵形角卵形などと呼ばれることもあります。

●倒卵形の葉のタイプ
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 倒卵形の葉の葉身は中央よりも先端に近い側の幅が最も広くなるのが共通の特徴です。卵形の逆なので倒れた卵形→倒卵形というようになったのでしょう。幅が極端に狭くなればほぼ線状になり、そのような葉は線形となります。幅と長さの比は様々で、比較的幅が狭ければ狭倒卵形、比較的幅が広ければ広倒卵形という具合で呼ばれます。全体的に角ばっているような葉は倒角卵形などと呼ばれることもあります。
葉の形は人の顔と同じで、同じ種、同じ茎でも結構ばらつきがあります。ですから大抵、「楕円形~卵形、時に倒卵形」のような複数のタイプの葉の形で形容されることが多いです。

その他によく用いられる用語としては、葉の切れ込み方を表現する用語、葉の先端付近の形状を表現する用語、葉の基部(葉柄付近)の形状を表現する用語があります。

●葉身の切れ込み方の表現
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 葉身の切れ込み方は、複葉の説明とほぼ同じですが、鳥の羽のように中央の葉脈が明瞭な羽状、手のひらのように中央と呼べる葉脈がない掌状の大きく2つに分かれます。それに切れ込み方が浅いか、深いかの違いを組み合わせて「羽状浅裂」のように表現することが多いです。

●葉身の先端付近の形状の表現
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 葉身の先端付近の形状は、とがり具合で様々な呼び名があります。写真で示した4タイプが比較的よく見るような気がしますが、その他には、より先端が尖るもので尾状尾状鋭尖形と鋭形の中間的な鋭尖形、円形だけど先端だけが突き出る凸形、先端が顕著にへこむ凹形といったものもあります。

●葉身の基部付近の形状の表現
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 葉身の基部付近(葉柄と接続する部分)の形状は、葉身の基部の角度や形状で様々な呼び名があります。写真で示した4タイプが比較的よく見るような気がしますが、その他には、くさび形円形の中間的な鈍形、矢尻のような形状の矢尻形、茎を巻き込むような葉(葉柄のない葉)に多い耳形といったものもあります。

葉身の切れ込み方が浅いか深いか、先端や基部が尖るか尖らないかの捉え方は、個人の感覚的な面もあるし、個々の葉によっても変化があり、時々、図鑑の表現に首をかしげる時もあります。図鑑の説明文を読んで自分のイメージとあわない時があるかもしれませんが、これぐらいの語句を覚えて、形状がイメージできれば、それほど苦もなく図鑑を読み進めることができると思います。また、用語については書籍によって多少の違いがありますが、今回は「図説 植物用語辞典」(清水建美著.2002年.八坂書房を参考にしています。写真や図が多くてわかりやすい解説書だと思います。