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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

春が旬なスミレ-238.ニオイタチツボスミレ-

今年は本当に春が早い上に、春の期間が短い感じですね。先日の観察会で出会ったニオイタチツボスミレもだいぶ花が終わっていました。

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開花期の中頃の個体。岐阜県各務原市(4月8日)にて。

ニオイタチツボスミレは名前に「タチツボスミレ」とついていることからもわかりますが、タチツボスミレによく似た植物です。「ニオイ」とつくことから、一般的には香りが強いことが特徴とされています。私の知人にも、タチツボスミレは匂わないけど、ニオイタチツボスミレはいい匂いがすると言う人がいます。私もたまに匂いをかいだりするのですが、香りを感じたことが殆どありません(私の嗅覚は人よりも劣っているようです)。ただ、香りは感じ方に個人差があると思うので、それが特徴というのは、嗅覚の劣った人には厳しいですよね~

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葉の量が少ない開花期の初期の個体。花が鮮やかな紫色。岐阜県恵那市(5月9日)にて。

でも安心して下さい。嗅覚が利かなくてもニオイタチツボスミレは区別できます私のニオイタチツボスミレに対するイメージは「ニオイ」ではなく、鮮やかな「色」ですね。タチツボスミレに比べると濃い紫色が特徴だと思います。

ニオイタチツボスミレはスミレ科スミレ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道南部・本州・四国・九州に分布します。本種はタチツボスミレに比べると明るく乾き気味の環境を好む気がします。そのため樹林内よりかは林縁や草地で見かけることが多いです。

ニオイタチツボスミレの特徴は3点です。
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①茎:春早い時期は茎の無いスミレのように見えますが、開花期の中頃にもなればよく見ると茎があります。ですから、茎のあるタイプのスミレに区分できます。
②葉:葉はタチツボスミレに比べると卵型です。特に茎の上のほうにつく葉ほど卵形になります。葉の先は丸みを帯び、とがることはありません。
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③花:濃い紫色で、花の中央付近の白色と周縁部の紫色がくっきりわかれるのも特徴です。花弁はタチツボスミレに比べると丸味を帯びます。あと花茎に微細な毛が生えることが多いですが、殆ど無い時もあります。タチツボスミレでも花茎に微細な毛がはえるケタチツボスミレという品種があるので、花茎の有無だけでは区別は難しいです。


見慣れればタチツボスミレと区別するのは難しくないですが、慣れるまでは迷うことが多いと思います。私もかけだし調査員のころは、だいぶ迷いました。ごく稀に白い花の個体もあるようで、そうなると色彩では見分けられないか・・・。そのような珍品に出会った際は、詳しい方に判断を仰ぐとよいですね