岐阜県で撮影した植物-188.マルバスミレ-
白色の花を咲かせるスミレの仲間はいくつかありますが、山中の落葉広葉樹林で白い花を咲かせるスミレと言えば、マルバスミレがまず頭に浮かびます。
かなり花付きのよい個体。花も大きいので白色ですが見栄えがします。
その名のとおり、丸っこい葉の上に白い花を多数つけます。ただ、丸っこい葉をつけるスミレはマルバスミレだけではないので、葉だけで識別する際は少し注意が必要です。私が調査を始めた頃は葉に毛があるものをケマルバスミレ、無毛のものをマルバスミレと呼んで分けていましたが、毛の量は様々で、今は毛の量では区別せずにマルバスミレで統一するのが一般的なようです。
マルバスミレはスミレ科スミレ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州、四国、九州の落葉広葉樹林や林縁に生育します。図鑑(改訂増補日本のスミレ いがりまさし著)では土壌の柔らかい崩れやすい斜面に多いとあり、確かに、撮影地でも土壌の厚い崩壊地に群生していました。
見づらいですが、崩れやすい斜面にタチツボスミレと群生していました。
マルバスミレの特徴は次の3点です。
①大きさと全体の容姿:草丈は10cm程度で、茎のないスミレのタイプ(スミレの解説はこちら)です。
②葉:葉は丸っこいハート型。葉柄はやや太めです。短毛が生えることが多いですが、その量は様々です。
③花:花は直径2cm前後で大きめです。花弁は丸味があり、色は白色で紫色のスジが入ります。マルバスミレは似た種があまりないため気にしたことはありませんが、撮影個体には側弁に毛がありました。側弁に毛の無い場合もあります。
出会うことの多い白花系のスミレとしては、アリアケスミレ、ツボスミレ、ヒカゲスミレがありますが、これらとは葉の形が全く異なるので、見間違うことはないと思います。ナガバノスミレサイシンやフモトスミレも遠目にみると白色系に見えなくもないですが、これらも葉の形が全く異なります。