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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

ネコノメソウの仲間を見分けるポイント

ネコノメソウの仲間は春の谷を代表する植物です。

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ネコノメソウ。青森県階上町にて(5月23日)。この仲間は群生することが多い。

多くのブロガーさんがこの時期はきれいなネコノメソウの仲間の写真をアップしていますね。私もがんばって今年の撮影分をアップしたいな~。ところで「春植物」というと春にきれいな花を咲かせてすぐに枯れてしまうセツブンソウなどを思い浮かべますよね。ネコノメソウの仲間は花の終わった春以降も葉は残ります。そういう意味では「春植物?」という感じですが、この仲間は花がないと同定できない種類が多いので、春を代表する植物と言っても過言ではないと思います。

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日の光で輝くコガネネコノメソウ。よい名前ですね。岐阜県七宗町にて(4月16日)。

ネコノメソウ属はユキノシタ科に含められ、日本には18種が分布すると言われています(改訂新版日本の野生植物2より引用)。ところが、つい最近、ネコノメソウの仲間で新種が発表されました~。その名もスズカボタン。英文なのでまだ詳しくは読んでいませんが、興味ある方は探してみて下さい(Meadek Wagaaauaode,Henkode Tagadaode,Aj A Sdk Tkiep A. Chrysospleniumsuzukaense (Saxifragaceae), a new speaes from Yoro and Suzuka Mts., CentralHonshu, Japan. Acta Phytotax. Geobot. 69(1): 41-51 (2018))灯台元暗しですね。私の住む近所から新種が出るなんて驚きです。ロマンを感じでしまいますね~。新種騒動はさておき、私の住む岐阜県はネコノメソウの仲間が非常に豊富な県で、なんと14種も分布するようです!(岐阜県植物研究会誌より引用)。私も全てを見たことはないですが、ネコノメソウの仲間をたくさん見るなら、岐阜県を是非訪れてみて下さい。


ネコノメソウの仲間を野外でビシッと同定するのは難しいのですが、次の4点に注意して見ておけば、写真だけでもなんとか近いところまでは同定できると思います。
●葉のつき方と形
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多くの種の葉は対生ですが、互生のものもあります。葉のつき方はチェックしておいたほうがいいですね。あとは葉の形もよく見ておきましょう。

●茎や葉の毛の有無
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茎に肉眼でもわかるぐらい毛が多いものと、殆ど無毛の種類があります。

●萼の色とつき方
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ネコノメソウの仲間は花弁がありません。ですから花びらのように見えるものが萼となります。萼は緑色、黄色、赤茶色、白色などがあり、黄色の具合も鮮やかなものから白っぽいものまであります。この色は図鑑と見比べる際は重要ですね。次に萼が開くか、立つかという点もポイントになります。

●雄しべの長さと葯の色
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雄しべと萼の長さを比べて、どちらが長いかというのが結構重要になることがあります。また雄しべの先につく葯の色が黄色か赤紫色かといった点も識別ポイントになることがあります。葯の色で注意が必要なのは、花粉が出る前の葯の色を見ておくということです。たいてい花粉は白か黄色で、花粉が出ている葯は黄色っぽく見え、葯本来の色と違うことがあります。

とは言っても、この仲間は本当に識別が難しいです。識別を難しくしている点としては、花の時期が比較的短く、花の色が時間の経過とともに変化する点、花の時期と終わった時期で葉の形や全体の容姿が変わったりする点があげられます。種類の多い岐阜県は特に識別が難しいような気がします・・・

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ヒダボタンのようだが葯の色が黄色で図鑑とあわない。岐阜県高山市にて(5月10日)。

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こちらは葯が赤紫色でヒダボタンっぽい。でも上のとは全然雰囲気が違うのだが・・・。
岐阜県美濃市にて(3月18日)。どっちが正しいヒダボタンなんだろう?それとも個体差?

実は去年の春もこの仲間はたくさん見たのですが、結構、図鑑の記載とあわなかったり、判断が難しかったり・・・。本当はバシッと春の植物として紹介したかったのですが、あまり自信がないので今回はちょっと紹介するだけでやめておきます。今年もめげずに見ていこうと思いますので、皆さんも是非チャレンジしてみて下さい。