身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

秋に同定したい植物-209.ミズ-&-210.アオミズ-

現地調査はいつもよい時期にできるとは限りません。ミズとアオミズは秋の結実期に調査をすれば間違えることはないのですが、花や実の無い夏に同定せざるを得ない時は大変困ります。

イメージ 1
同所的に生育していたミズ(右)とアオミズ(左)。岐阜県高山市にて(10月4日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

イメージ 3
小型の植物と思われがちですが20cm程度にはなります。茎は紫色を帯びる。

イメージ 2
ミズよりも全体的に大きく、茎は緑色。典型的なサイズの個体だと思います。

ミズとアオミズは「葉だけでも区別できるよ」とおっしゃる方も多いと思います。確かに上のような典型的な個体であれば、葉や茎の色だけで両種を識別することは可能です。一般的には、ミズよりもアオミズの方が葉が大きく細長い傾向があり、ミズは茎が紫色で、アオミズは緑色ということが多いです。しかし、アオミズも生育環境によっては貧弱な個体ばかりという場合もあるし、芽が出たばかりのような時は葉だけでの同定は非常に困難になります。茎の色もアオミズなのに薄く紫色になったり、ミズなのに緑色っぽかったりということもあります。私も実の無い時期に「ミズだろう」と思っていたら、実ができたらアオミズだったという経験が何回かあります。複数回見る機会があるようでしたら、ミズとアオミズは秋に同定したほうが間違いないと思います。

ミズ、アオミズともイラクサ科ミズ属の一年草(いちねんそう:生育不適期を種子過ごし、発芽から結実までが1年以内の植物)で、どちらも北海道~九州に分布します。両種は生育環境もほぼ同じで、谷沿いの湿った樹林内や林縁に主に生育します。

ミズの特徴は次の3点です。
イメージ 4
①葉:葉には長い柄があり、鋸歯縁、表面の葉脈が目立ちます。葉身(ようしん:柄を除いた葉の部分)2-5cm程度で、ひし型、対生(たいせい:葉が対になって着く)します。
イメージ 5
②花序:花序は葉の脇に球状に密集します。大きな個体だと花序の枝が伸びることもあります。
③果実:果実は花被片(かひへん:花びらや萼と同じようなもの)につつまれており、花被片は3個で、幅広いです(果実が外側から見えづらい)。果実は萼片とほぼ同じ長さかやや短い(果実の方が萼片よりも少し長い時もあります)。

アオミズの特徴は次の3点です。
イメージ 6
①葉:葉には長い柄があり、鋸歯縁、表面の葉脈が目立ちます。葉身(ようしん:柄を除いた葉の部分)3-10cm程度で、狭卵型からひし型、対生(たいせい:葉が対になって着く)します。
イメージ 7
②花序:花序は葉の脇につき、花序の枝が伸びるため枝が明瞭。ただし、小型の個体では枝が伸びないので、ミズに似た球状になります。
③果実:果実は花被片(かひへん:花びらや萼と同じようなもの)につつまれており、花被片は3個で、幅が狭いです(果実が外側からよく見える)。果実は萼片よりも長いことが多いです。


ミズもアオミズも汁気の多いみずみずしい茎が名前の由来だと思います。○○ミズという種類は他にも数種あり、この仲間は同定が難しいです。その中ではミズとアオミズはよく目にするので、覚えておいたほうがよい植物です。ちなみに、山菜で「ミズ」として売られているものは、今回紹介したミズやアオミズではなく、ウワバミソウのことです。

イメージ 8
私が大好きな山菜で「ミズ」と呼ばれるウワバミソウ青森県西目屋村にて(9月23日)。