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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

岐阜県で撮影した植物-196.コチャルメルソウ-

春は花でいっぱいだった渓流周辺も、緑が濃くなってきました。コチャルメルソウがたくさんの実をつけていました。チャルメルソウの由来となったラッパ状の果実から初夏の音色が聞こえてきそうです。

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岐阜県高山市にて(6月20日)。下段、撮影場所・撮影日同じです。

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横から見ると実がチャルメラのラッパのよう。中にたくさんの種子が入っていました。

コチャルメルソウはユキノシタ科チャルメルソウ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州、四国、九州の渓流沿いに分布します。チャルメルソウの仲間は全て渓流沿いに生育しますが、コチャルメルソウは分布の広さ、生育量の多さから本州の渓流を代表する植物と言っても過言ではないかもしれません。

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花の時期のチャルメルソウ。訪花昆虫はキノコバエ類。岐阜県東白川村にて(4月24日)。

分布が広いため地域によっては他のチャルメルソウ類と混生する場合もありますが、訪花昆虫の違い、開花時期の違い、花粉の付着する位置の違いによって、他種との雑種はあまりできなくなっているようです。簡単に雑種ができてしまう植物がある一方で、コチャルメルソウのように雑種ができにくい植物もあるのですね~

コチャルメルソウの特徴は次の3点です。チャルメルソウの仲間は花が無いと同定が難しいので、同定に適した時期は春に限定されます
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①生え方:匍匐根茎を出すため、かなりまとまって群生することが多いです。
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②葉:葉は長い柄があり互生します。葉身は丸味を帯びた五角形状で、葉身の縦と横の長さがほぼ同じで鋸歯があります。全体に開出した毛がはえます。日本海側のものは葉が全体的に大きめになることが多いようです。
③花:萼は開出します。花弁と雄蕊は5個で、花弁と雄蕊は離れてつきます。雌蕊の先は分裂しないで点状です。


同定の難しいチャルメルソウの仲間ですが、コチャルメルソウだけは生え方や、分布から花が無くても同定が可能な場合があります。関東6都県と石川県、岡山県は今のところチャルメルソウ属ではコチャルメルソウのみしか生育していないようで、東北地方もだいたいコチャルメルソウと思ってよいようです。花や実が無いとズダヤクシュとも間違いやすいですが、コチャルメルソウは根が横に這い匍匐茎を出すのに対し、ズダヤクシュは匍匐茎を出さない点で異なります。