覚えておきたい落葉高木-226.ミズナラ-
夏をすぎるとだいぶ色が濃くなり、葉も硬くなる。青森県西目屋村にて(9月20日)。
ミズナラを覚えておいたほうがよい理由は、冷温帯(れいおんたい:東北地方や中部地方を中心とした涼しい地域。私の住む岐阜だと標高700―1600mくらいの地域)を代表する植物で、北海道から九州までの広範囲に分布するからです。この木を知っていれば、その地方のだいたいの気象がわかるという点でとても便利です。例えば、別荘を購入する時に、近くの林を見てミズナラが多ければ、冷涼で降雨量もそこそこの地域なんだなーということがわかります(内陸の地方だと今の気象ではそれほど涼しくないかも)。森がコナラ林だと少し暑いかな~。
もう一つミズナラを形容する言葉としては、「男らしさ」でしょうか。巨木になるブナもすごいのですが、ブナには「美しい」という言葉が似合います。真っ直ぐ伸びた幹や枝、滑らかな樹皮がスタイルのよさを想像させます。それに対してミズナラは斜めに伸びたり、枝もねじれたりして横に広がりがちです。樹皮もゴツゴツして男性的です。さらに巨木になると、シダ類やラン、しまいには低木、キノコまでも、自分の樹上で育て上げてしまい、懐の広さを感じさせます(ブナにも着生しますが、ミズナラの方が多い!)。調査の際にミズナラの大木を見つけたら、必ず上を見上げてしまいます(何か変わったものがないか探してしまう)。
ミズナラはブナ科コナラ属の落葉広葉樹で、高さは20m以上に達します。北海道や東北~中部地方ではまとまった純林(じゅんりん:単一の種類が優占するような森林)を形成する時もありますが、比較的多くの樹種と混生する森をつくります。北海道ならトドマツ等の針葉樹、東北地方ではブナ、低標高ではコナラなどと混生します。
ミズナラの特徴は次の4点です。
①樹皮:幹は浅く縦にひびわれます。縦の溝の深さは変異があり、コナラのように深めのものから写真のように浅めのものもあります。また若い木の樹皮と老木の樹皮でも違うことがあります。
②葉の形:葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)します。形は倒卵形(とうらんけい:葉の上方が幅広くなり、卵形を反対にしたような形)で、先のとがった凹凸のはっきりした鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があります。一番の特徴は葉柄が殆ど無い点です。
③葉脈と毛:葉脈は直線的で、側脈先が鋸歯の先端につながります。葉の表面は殆ど無毛で、裏面には若干の伏した毛があり、淡い緑色になります。毛の量は春先には多いです。
④実:いわゆるドングリです。コナラと似ていますが、コナラよりもひとまわり大きい。