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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

春をつげるヤナギ-123.キツネヤナギ-

動物の名前のついたヤナギとしては、ネコヤナギの他にキツネヤナギがあります。

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青森県横浜町にて(5月20日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

ヤナギというと水辺を想像する人が多いと思います。これまで紹介したヤナギは全て水辺にはえていたし、柳の下のお化けの絵にも川や水路が描かれていたような気がしますよね。でも、ヤナギの仲間には水辺から離れた場所で生育する種類が結構あります。そんな陸好きのヤナギのひとつが、このキツネヤナギです。どのあたりがキツネっぽいかというと、葉の裏面や花序(かじょ:花の集合)にキツネ色の毛がはえているからのようです。
キツネヤナギはヤナギ科ヤナギ属の落葉低木(らくようていぼく:冬に葉が落ちる木。高さの決まりはないですが、たいてい4m未満)で、北海道、本州(関東以北)に分布します。丘陵地や低山の林縁に生育し、他の木々とごちゃごちゃ生えるので、あまり目立たない木だと思います。

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1.2mの低木。松と一緒にはえているところからも水辺から遠いことがうかがえる。

山地に生育するヤナギは見る機会も少なく、立派な樹林を形成することもないので、なかなか覚えるのが難しいです・・・。葉だけだと、同定が不可能な場合もあると思います(私の場合)。
キツネヤナギの特徴は次の4点です。
①生育場所:水辺ではなく、山麓の林縁に生育します。
②大きさ:低木で、大きいものでも2m程度です。
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③葉:葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)し、丸っこい楕円形。若葉では白~きつね色の毛を密生しますが、古い葉は殆ど無毛になります。葉の縁は波うち、なんとなくしわくちゃで、裏面で葉脈が隆起します。慣れると葉だけでも「キツネヤナギかな~」ぐらいはわかるのですが、類似種のサイコクキツネヤナギ、オオキツネヤナギは葉だけだと区別がかなり難しいです(分布で決まる場合もあります)。
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④花:ヤナギは雄株と雌株があるのですが、雌株の方が同定しやすいので、雌株を探したほうがよいです。子房は無毛で短い柄があります。柄のつけねに苞(ほう:写真参照という鱗状の葉のようなものがあるのですが、それにきつね色の毛が密生します。

似たヤナギでわりとポピュラーなものとしてバッコヤナギがあります。バッコヤナギは葉の裏面に縮毛が密生するので区別は容易です。本州の北陸以北の日本海側に分布するオオキツネヤナギはかなり似ていて、葉だけだと違いが微妙ですが、雌花があれば子房に毛が密生するので区別できます。岐阜県以西の本州、四国、九州に分布するサイコクキツネヤナギはさらに違いが微妙、というか、殆ど同じです(笑)。山と渓谷社の樹に咲く花」という図鑑では、サイコクキツネヤナギとキツネヤナギは分布が重ならないことになっていますが、実際はどうでしょう?両者の違いは比較するものがないときびしいので、解説は保留としておきます。