初夏と言えばスゲでしょ!-278.フサスゲ-
フサスゲは暖地の海岸付近に生育するスゲで、うちの近所では見ることのできないスゲです。四国や九州を訪れた際に見たことがあり、これは他に類をみない面白い形のスゲだな~と思いました。非常に特徴的なスゲなので、見ればすぐに覚えられると思います。
海辺の河川敷では群生することも。黄緑色がきれいで慣れれば遠目にも気づきます。
その名のとおりフサフサとした感じで大きな小穂をたくさんつけます。立派な株だとたくさんの花茎を伸ばすので、見応えもありますね。そして実が熟すとその重さで稲穂のように茎の先端が垂れ下がります。こころなしか稲穂のように黄金色に似た黄緑色をしていますが、日陰だと緑色が濃くなるようです。
大きな小穂をたくさんつけます。実が熟すと重そうですね。
フサスゲはカヤツリグサ科スゲ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、フサスゲ節というグループに属しています。このグループは国内では2種のみと少ないので、形態的にもユニークなことがうかがえます。本州の静岡県以西・四国・九州・南西諸島に分布し、河川敷の堤防草地や疎林内、林縁で見ることができます。
フサスゲの特徴は次の3点です。語句についてはコチラも参照して下さい。
① 全体容姿:膝丈程度のスゲで大きな株状になります。
② 小穂のつき方:一番上の先端の小穂は雌雄性(先端側に雌花の穂がつき、基部側に雄花の穂がつく)で、それ以外の小穂は雌性です。上部の小穂は近接してつき、垂れ下がることはありません。雌小穂の基部には鞘があり、鞘の先には小穂よりも長い苞葉(ほうよう:小穂の下に付く葉)があります。
③ 雌小穂と果苞・鱗片:雌小穂は円柱状で2-5cm程度、多数の光沢のある果苞を密につけます。果苞は7mm程度と大きく、鱗片は果苞よりも明らかに短く、先端はわずかにとがります。
同じグループのスゲはアイズスゲのみですが、こちらは小穂が垂れ下がるので、全く似ていません。生育地もアイズスゲは本州日本海側と大きく異なります。そんな訳で似たスゲは無いと思います。