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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

2019年の出会いベスト5(第2位)-300.アカンスゲ-

紛らわしい名前の植物が続きます。第2位はアカンスゲです。

 

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北海道釧路市にて(6月13日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

 

アカンスゲの名前は、多分北海道の阿寒湖に由来するのだと思います。分布は北海道だけではなく、本州の東北~中部地方の亜高山帯以上にもあるようですが産地は限られています。北海道の阿寒湖周辺を含む道東地方は比較的産地が多いようだったので、今年阿寒湖を訪れた際は是非とも見てみたいスゲの一つでした。

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小さな実の塊(小穂)が数個ややまばらにつくのが特徴の一つ。

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果胞の形はお米に似ている。でもお米よりは小さく、長さは3mm程度。薄く紫色を帯びることもあった。

 

出会えた時はかなりテンションあがりましたね~。米粒みたいな実がパラパラとついて、容姿がすごく可愛いいんですよ~。樹林内や林縁のかなりグチャグチャした湿地の周辺にまとまって生育していました。比較的小型のスゲのため、他のスゲが多く生育しているような湿地にはあまりはえていませんでした。アカンスゲの分布の中心的な地域だったせいか、場所によってはかなり多くの個体が生育していて、驚かされました。

アカンスゲはカヤツリグサ科スゲ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、ハクサンスゲ節というグループに属しています。果胞が丸みを帯びていて、小穂がややまばらにつくのがこのグループの特徴です。このグループは冷涼な地域に生育するものばかりで、北海道や本州中部以北の亜高山帯以上の標高に生育することが多いようです。

アカンスゲの特徴は次の4点です。

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①全体容姿と生育環境:株状になり、草丈は20-30cm程度。湿地に生育します。

②葉:葉は無毛で幅は1-2mmぐらい。

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小穂のつき方小穂は1cm未満で複数個がやや間隔を空けてつき、一番上の小穂雌雄性(先端が雌で基部が雄)がわかりやすいです。その他の小穂も雌雄性ですが、雄の部分が非常に短いので、一見すると雌だけのように見えます。苞(ほう:写真参照)は短く目立ちません。
果苞と鱗片果苞は楕円形で翼(よく:ひれのような一部分)は無く、先端はあまりとがりません。鱗片果苞よりも短く、緑色(中央緑色で縁は白色)です。

ハクサンスゲ節のグループに属するスゲはわりと皆似ています。ただ、小穂のつき方や果苞の形が特徴的なので、1回見れば簡単に覚えられ、類似種とも容易に区別できると思います。

 

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ホソバオゼヌマスゲ。鱗片と果胞は褐色を帯びます。北海道釧路市にて(6月13日)。

 

アカンスゲを確認した湿地では、同じハクサンスゲ節のホソバオゼヌマスゲも生育していました。ホソバオゼヌマスゲはアカンスゲよりは大型で、鱗片が褐色を帯びる点で異なります。