身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

地元で撮影した植物-173.ケキツネノボタン-

筆が遅いため季節はずれとなって掲載の機会を失った植物が多々あります。そんな植物をネタの少ないこの時期に紹介したいと思います。「身近な自然」と言いながら、私から見て遠方の植物の紹介が多いので、まずは地元で撮影した植物たちから。ケキツネノボタンです。

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岐阜県関市にて(4月30日)。以下、撮影場所・撮影日同じです。

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植物体のわりには花が小さい。キンポウゲの仲間なので、花はキラキラ。

春の水田まわりや水辺でよく見られる身近な植物です。でも、これが初心者にとっては見極めが難しい植物の一つではないかと思います(今でも迷う個体がたまにあります)。まず、水田まわりで似たような黄色の花を咲かせる植物としては、ウマノアシガタ(キンポウゲ)があります。ウマノアシガタは花びらが大きく、花全体も一回り大きいので、これはすぐに違うことがわかりますね。葉の形も並べてみると全く違います。

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ウマノアシガタは花が大きい。より草地的な環境にはえる(佐賀県佐賀市.4月26日)。

問題はキツネノボタンとの見極めです。まず、名前で示されている「毛」が混乱の原因の一つかもしれません。茎に毛があればケキツネノボタンと思われがちですが、実はキツネノボタンにも毛があります。ですから毛の有無だけでは両種を分けることができません。図鑑では実の先端がかぎ状に曲がるか曲がらないかで両種を分けるとありますが、これも実の成長具合でわかりづらい時があるような気がします。私は両種を区別する際は、葉の形状でだいたいの当たりをつけ、実でも一応確認するというパターンが多いです。

キツネノボタンキンポウゲ科キンポウゲ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)です。本州~琉球の水田周辺などの湿地に生育します。暖地に多い植物なので、東北地方や冷涼な地域では少なく、平野部で見る機会が多いと思います。

キツネノボタンの特徴は次の4点です。
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①茎:茎には開出した長毛が多くはえます。
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②葉:3出複葉(さんしゅつふくよう:葉柄の先(黄色→部分)が3つに別れ、小葉(黄色破線内)3枚からなる葉)で、小葉(しょうよう:1枚の葉が分裂してできた個々の葉のこと)は深く切れ込みます。キツネノボタンは切れ込みが浅いです。
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③花:花弁は5枚で光沢のある黄色。花弁は小さめで、中央の緑色の雌しべ群(緑色部分)と大きさにあまり差がありません。
④果実:果実は多数の実からなります(このような果実は集合果と言います)。1個の実は厚みがあり、縁近くまで充実した感じになります。キツネノボタンは実が薄めで、特に縁近くは薄い感じがします。そのため集合果はケキツネノボタンのほうがパンパンといった感じになります。実の先端の形状よりも、実の全体の形状の方が慣れればわかりやすいような気がします。


当はキツネノボタンと並べたいところでしたが、キツネノボタンの手持ちの写真がなかったので、両者の比較はキツネノボタンの写真が集まってからやりたいと思います。ケキツネノボタンに似た植物としては、オトコゼリもあります。オトコゼリはやや珍しい植物なので、そんなに目にすることは無く、オトコゼリのほうが葉の切れ込みがより細かくなります(23出複葉)。