植生図は細かすぎるのもよくないかな
今年の年末も植生図をたくさん描いたり、チェックしたりしました。残念ながら年末に全てを終えることができず、申し訳ない限りです・・・(年始に提出するぞー!)。
それで、ふと「植生図は細かすぎるのもよくないかも・・・」と思いました。クライアントさんの中には「細かければ細かいほど正確でよい植生図」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな方には「ちょっと待ったー」と言いたいですね。
例えば、すごく細かく植生図を書いて、凡例の文字が重なったり、図の色彩が見えないのはどうでしょう。これでは第3者が見て何だかさっぱりわからず、図としての意味があまりないです。これは植生区分と地図の縮尺があっていないのです。やはり地図の縮尺にあった植生区分とすべきです。なんかのマニュアルに書いてあったかもしれないけど(忘れてしまったが)、地図上5mm四方(25mm2)ぐらいの面積を図示する最小面積とするのが妥当だと思います。
もう一つの例としては、種組成は殆ど同じなのに、優占種が違うだけで群落を区分するという場合です。ごくたまに、河川敷で「樹木分布図か~」と思うほど樹林を細かく分けている場合がありますが、これは植生の知識を少しかじった人なら、「ここまで細かく区分する意味はないなー」と普通思います。これは優占種で植生を区分する弊害(もちろん優占種区分は妥当ですが、こういう場合もあるという意味)だと思います。マニュアル等ではよく「優占種で植生を区分」とありますが、鵜呑みにせず、植生学的な常識の範囲(これが難しい)で、極端に細かくなりすぎない程度で群落を区分するのがよいと思います。
河川敷のオギ群落。オギ、ヨシ、セイタカアワダチソウが混生し、この時期だと優占種で群落を細かく区分することも可能。でも種組成的には殆ど同じで、神経質に細かくする必要はあまりない(と思う)。新潟県阿賀野市阿賀野川河畔にて(10月31日)。