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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

植生図は細かすぎるのもよくないかな

今年の年末も植生図をたくさん描いたり、チェックしたりしました。残念ながら年末に全てを終えることができず、申し訳ない限りです・・・(年始に提出するぞー!)。
それで、ふと「植生図は細かすぎるのもよくないかも・・・」と思いました。クライアントさんの中には「細かければ細かいほど正確でよい植生図」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな方には「ちょっと待ったー」と言いたいですね。

例えば、すごく細かく植生図を書いて、凡例の文字が重なったり、図の色彩が見えないのはどうでしょう。これでは第3者が見て何だかさっぱりわからず、図としての意味があまりないです。これは植生区分と地図の縮尺があっていないのです。やはり地図の縮尺にあった植生区分とすべきです。なんかのマニュアルに書いてあったかもしれないけど(忘れてしまったが)、地図上5mm四方(25mm2)ぐらいの面積を図示する最小面積とするのが妥当だと思います。

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亜高山帯の雪田植生。複数のミクロな群落が含まれていて、群落を細分することは非常に意味があるのだが、それを環境省の植生図レベルで表現するのは不可能に近い。新潟県妙高市高谷池にて(10月13日)。

もう一つの例としては、種組成は殆ど同じなのに、優占種が違うだけで群落を区分するという場合です。ごくたまに、河川敷で「樹木分布図か~」と思うほど樹林を細かく分けている場合がありますが、これは植生の知識を少しかじった人なら、「ここまで細かく区分する意味はないなー」と普通思います。これは優占種で植生を区分する弊害(もちろん優占種区分は妥当ですが、こういう場合もあるという意味)だと思います。マニュアル等ではよく「優占種で植生を区分」とありますが、鵜呑みにせず、植生学的な常識の範囲(これが難しい)で、極端に細かくなりすぎない程度で群落を区分するのがよいと思います。

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河川敷のオギ群落。オギ、ヨシ、セイタカアワダチソウが混生し、この時期だと優占種で群落を細かく区分することも可能。でも種組成的には殆ど同じで、神経質に細かくする必要はあまりない(と思う)。新潟県阿賀野阿賀野川河畔にて(10月31日)。

植生図はそもそも目的にあわせて作成するもので、成果物は視覚的にわからないとダメです。トンボのためのビオトープに関する植生図であれば縮尺に応じて最大限細かく作成してあげればよいし、環境省のように1/25,000地形図に描くなら少し大雑把なくくりの方がよいと思います。お金を借りるときも、植生図を描くときもバランスが大切。常に目的を持っていれば、「細かすぎ!」ということにならないのかもしれません。私も細かくなりすぎる傾向にあるので、これからも、注意してやっていきたいと思います。